硫黄島からの手紙は、そんなところも書かれています。
栗林中将という、アメリカに駐在武官として住んでいて、考えとして現代的な合理的な、ある部分、陸軍の軍人らしくない存在。そして、西中佐という、オリンピックの馬術で金メダルを取ってアメリカでも知られている華族階級の軍人。
彼らは、例えば栗林中将が、二等兵を上官がぶったたいているのをたしなめたり、アメリカ人の捕虜を西中佐が介抱するなどというシーンで、説明されています。

この映画の特徴として、良い役者が出ているという点があります。
渡辺謙の栗林中将は、とても良かったと思います。
存在感がありました。
ちなみに、その彼の引き立て役の獅童扮する海軍の伊東中尉は、存在しません。
話しも、勇ましくて、逃げてきた二宮扮する二等兵を、臆病者呼ばわりして斬ろうとするのに、最終的に降伏するという、卑怯な存在として書かれています。
もちろん、最後、捕虜となって生き残る二宮の二等兵も存在しないです。
伊原演ずる西中佐は実在です。
映画では、最後目が見えなくなり、自殺しますが、死に際に際しても色々な説が出ています。
アメリカでも西中佐は有名で知名度が高く、西中佐の友人だったアメリカ軍の佐官が、
投降を呼びかけたという説も出ています。

硫黄島からの手紙で、僕が感じたのは、最後、多くの兵士の声を代弁して、色々な手紙が語られるところです。
ここで死んでいった兵士たちは、我々と変わらず、大事な家族や好きな人がいて、でも、不幸にも兵士として戦い、死んでいったんだよ
という、メッセージを感じました。

ちなみに、アメリカが反攻作戦を行ってから、唯一、日本軍が、アメリカ軍の死傷者を下回った戦争として、知られているのが硫黄島からの戦いです。
アメリカの戦死者は6000人程度だったと思います。そして、怪我人が2万人以上。
一方、日本軍は21000人が戦い、20000人近くが死亡して、1000人程度が捕虜になりました。致死率、95%!!!
いかに、日本軍が、兵士に過酷な縛りを行っていたかを示しています。、
ともかく、アメリカ人からすると、栗林中将は、アメリカ軍をてごずらせた名将として名高いです。
ただ、日本では、映画などになって有名になりました。
栗林中将は、硫黄島以外では、あまり戦闘に参加していないようです。

硫黄島は、東京都で、サイパンを落としたアメリカ軍がなぜ、硫黄島を取りたかったかと言えば、B29の不時着地として、適当であったからです。
サイパンから東京に爆撃に出て、破損したB29が戻れない事態が多く、士気にかかわる問題だったのです。

硫黄島の戦いは、20000人の日本軍が、10万人以上のアメリカ軍、制海権、制空権がない絶望的な中で、1か月以上もアメリカ軍を防いだ戦いでもあります。
この後、沖縄戦になりますが、日本軍は、硫黄島の戦いも参考、持久戦をとるようになりました。
結局、原爆にもつながるのですが、アメリカ軍に本土で戦いになったらいかに犠牲が出るかを示したとも言え、大きな影響を与えたのではないかと思われます。