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ジャーナリズムについて

早速ブログを書かせて頂きます。

ぜひ皆様の意見も聞きたいです。よろしくお願いします。


数週間前に、早稲田大学で「ジャーナリズム」をテーマにして講演をさせてもらいました。

それもあって、最近話題になっている相撲の件を通じて、私がジャーナリズムについて思うところを書かせていただこうと思います。

 

 

今、毎日のように相撲についての報道がされていますね。

もちろん八百長は悪い事ですが、少しやりすぎだと思います。

なぜ、マスコミはここまで相撲界を叩くのでしょうか。

 

相撲界をつぶしたいのか、何をしたいのかわかりませんが、

きっと結局のところは金儲けなのではないでしょうか。


皆さんご存知の通り、テレビ、新聞、雑誌などのマスコミは、

話題や事件などを映像、文字で伝える事が仕事です。

新聞や雑誌が売れれば利益が出ますし、

発行部数や視聴率が良ければ、広告収入でもっと大きな利益を稼ぐことが出来ます。

 

すなわち人が見たり聞いたりする頻度が多いと収益が上がる仕組みなんです。

だから、いろんな事件を面白く、おかしく伝えることにより

人の興味を引いて利益につなげようとします。

 

テレビのモーニングショーなどが典型的で、突っ込んで話を大きくしたり、

場合によっては微妙に内容を曲げて伝えたり、たられば、で話したりする事もありますよね。

そうすることによって、一般の人の興味を引き出し、利益も引き出そうという意図があるんです。

 

このやり方の下では、当然害を被る人が出てきます。

そして現状、害を被ったとしても、残念ながらそれに見合うだけの補償を得ることは出来ません。



たとえ、名誉毀損で訴えて裁判で勝ったとしても、その賠償金というのは微々たるものです。
踏みにじられ足蹴にされるような思いをしているにも関わらず。

そしてその裏で、書いた方はそれ以上の利益を得ています。

本当に書いたもん勝ち、言ったもん勝ちの世界です。

 

名誉回復に関しても、メディア側が負けた事を取り上げる記事や、謝罪広告などは出ても小さいものでしかなく、とてもじゃないですが失われた名誉、イメージを回復出来るものではありません。

 

そして、残念ながら今、日本のマスコミにはこうしたやり方が非常に多い…。




 

相撲については今、どのマスコミも一斉に叩きまくり、

外から見ていても本当に大変な状況だと思います。

下手したら相撲界がなくなることもあり得る。

 

もし八百長が本当にあったとしたらそれはそれで罰を受けるべきだと思いますが、

警察以上に重箱のすみを突き、バッシングし、

マスコミの目的は相撲界を潰すことなのでしょうか。

 

事実をしっかり伝え調査して、

メデイアとして社会の問題について意見を述べることは当然良い事だと思います。

しかし、今やマスメディアはその役割を見失い、

自分達の利益を追求するために、弱者を巻き込むような報道をしているのではないでしょうか。


もう何年も、学校などでいじめは問題になっていますが、

マスコミはまさに大人の社会でのいじめをしているように見えます。

これでは、いくらいじめ排除と言っても、矛盾した言葉にしか聞こえてこない。



弱いと判断すれば、自分達の利益のために襲いかかりいじめまくるくせに、

強者に対しては尻尾を巻いて逃げる。

残念ですが、それが今の日本のマスコミの性質です。





この性質を、相撲叩きとは逆の面から象徴する出来事が、かつて野球界でもありましたね。

なぜプロ野球の裏金問題のときは、きっちり追求せずに終わってしまったのでしょうか。



もちろん、その大きな要因は、野球界にはマスコミが経営に関わる球団があるということでしょう。

しかし、だとすれば、この姿勢というのは、それこそ八百長と呼ばれ非難されても仕方ないものではないでしょうか。

 

マスコミは国民に対して真実を伝える義務があるはずです。

しかし、当時設置されていた西武ライオンズ調査委員会の池井委員長が、

記者会見で約170人の裏金に関与した人物のリストがあると発言した時、

それを追求したメディアは、私の知る限りいませんでした。


現在の相撲界を攻撃しているスタイルとは全く違います。

やはり、強いものには逆らうな、という姿勢に徹するがゆえでしょう。

 

もしマスコミが相撲界の八百長事件を暴露する事により、

相撲界を良くしたいのであれば、厳しい取材も理解は出来ます。

しかし、今までのマスコミの姿勢を見ていれば、良くしようというより、

儲けるだけ儲けてあとは知らない、という姿勢にしか感じられません。

 

暴露する事により改善できるならば、

なぜ野球の裏金問題を追求して170人の名前をだし、

違反した人たちを排除し球界を改善しようとしなかったのか。

やはり上からの圧力があったとしか思えない。

 

もし170人の名前が出れば、その罪を犯した人たちは排除されたはずです。

そして、新たな人たちが入り新しい時代を築き、

より良い野球界へと歩を進められたかもしれません。


しかし、その170人を含む悪事をした人たちは、ぬくぬくと罪の意識も持たず野球に携わっています。


これこそマスコミが取り上げるべき大きな問題ではないのでしょか。

裏金をもらう事により、ドラフトにおける八百長が行われているが、

これは改善する必要はないというのであれば、本当に不思議でしょうがないことです。

 



これからは法律が改正され、もっと報道被害に対する損害賠償額が大きくなることを願いたいです。

そうなれば、へたなことを言ったり書いたりすれば、それ相応の償いが必要となる。

そのようになれば、より慎重に、公平な観点で事実を伝えようとするのではないでしょうか。


本当のことを言えば、そんな改正などなくても、ジャーナリズムのプロとして、

商売優先ではなく事実を伝えるのだとプライドを持って活動をしてもらいたいものです。

きっと無理だとは思いますが、そう思うジャーナリストがすこしでも出てくれば良いなと思います。