1. She's Got Rhythm 
(Brian Wilson/Mike Love/Ron Altbach)
2. Come Go with Me 
(C.E. Quick)
3. Hey Little Tomboy 
(Brian Wilson)
4. Kona Coast 
(Al Jardine/Mike Love)
5. Peggy Sue 
(Buddy Holly/Jerry Allison/Norman Petty)
6. Wontcha Come Out Tonight 
(Brian Wilson/Mike Love)
7. Sweet Sunday Kinda Love 
(Brian Wilson/Mike Love)
8. Belles of Paris 
(Brian Wilson/Mike Love/Ron Altbach)
9. Pitter Patter 
(Brian Wilson/Mike Love/Al Jardine)
10. My Diane 
(Brian Wilson)
11. Match Point of Our Love 
(Brian Wilson/Mike Love)
12. Winds of Change 
(Ron Altbach/Ed Tuleja)

Originally Released Oct. 2, 1978
Produced by Al Jardine and Ron Altbach

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』には、
シロとクロという2人の対照的な女の子が出てくる。
精神分裂症に罹ったシロを、クロは献身的に
看病していたが、やがてシロの相手に疲れて逃げ出し、
フィンランドの寒村でひっそりと陶芸作家として
生きていく道を選び、そしてシロは死んでしまう。

このシロとクロ、又はシロとその他の5人の関係は、
Brian Wilsonと残されたThe Beach Boysの5人の
関係にもあてはまる。
或いはJohn LennonとThe Beatles、
Brian JonesとThe Rolling Stonesでもいい。

 

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1978年のこのアルバムには、Brian WilsonとMike Love、
Al Jardinの3人だけが参加している。
ブライアンの2人の弟はソロ志向を強め、
スタジオに殆ど姿を見せなかったのである。

現在のThe Beach Boysの情況を見ると、
マイクがウィルソン兄弟を追い出し、
バンドを乗っ取ったかのように見えるし、
実際そうなのだけど、少なくとも1978年の時点では、
クロの立場だったともいえる。

『多崎つくる』ではシロは死んでしまったが、
現実のThe Beach Boysは、ブライアンの2人の弟が
相次いで死に、最も死の淵に近かったブライアンは、
2015年4月に11枚目のアルバムNo Pier Pressure
リリースしているのである。

小説の冒頭で死の淵を見ながら、生還した多崎つくるは、
ブライアンその人のようであり、
音楽的才能に恵まれながら死んでしまった
白根柚木もまたブライアンその人のようであり、
しかし現実に死んだのはデニスとカールだったということで、
つくるとシロを重ね合わせると、ウィルソン3兄弟の顛末に擬する。