宮沢賢治の童話「狼森と笊森、盗人森」は、小岩井農場とその周囲に実在する地名です。童話はあるとき、山を越えて四人のケラをきた百姓がやってきて、そのあたりの野原を開拓するのです。開拓も順調に進み、彼らの住む小屋も三つに増えたそんな秋の夜に、四人の子供たちが狼森に住む狼たちにさらわれたり、山男に山刀や三本鍬、などの農具をいたずらで笊森の奥に隠されたり、盗人森に納屋の栗を全部盗まれたりして、結構開拓者は苦労したのです。その後狼や山男も食べ物を欲しがっているのを知り、盗人森が栗餅を自分で作ってみたかったのだと岩手山から教えられ、事件が解決するたびに、彼ら百姓たちはちゃんとお礼に栗餅を森にもって行き、森とすっかり友達になった。という童話です。自然界における「生態系」に許しを乞いながらの、人間社会の繁栄を心せよと教えてくれるのです。


狼森という地名の由来は、昔からこの地方では狼信仰がさかんで、神としてあがめ神が住む森ということを聞いたことがあります。また一方狼が横になった形をしているからだという人もあります。

笊森は笊をかぶせたような急峻な地形で、地表がザラザラして歩きにくい森といういみだそうです。実際歩いてみてそのとおりになっています。

盗人森は姥屋敷の石川さん所有地で、この地名の由来については姥屋敷伝説と重なり、物語は複雑になりますので今日はこれまで。