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去年の話。
２０１７年１１月１２日（日）
トントン
「はい」
俺は、ドアの方に目をやった。
そこには、どこにでも いそうな
何の特徴もない男性が立っていた。
「お世話になります。
今回担当させて頂きます」
「お世話様です。
本日は、宜しくお願いします」
名刺を頂戴した。
名前も、ありふれている…
というか偽名だろう。
探偵といったら
シャーロックホームズのような
いでたちを想像してたから、
あまりのその変哲のなさに呆然とした。
「本当に この人が探偵？」
まぁ「いかにも探偵！」っていう格好じゃ
追跡なんてできないからね。
いつもの光景の中に、
探偵さんは何食わぬ顔して
潜んでいるんだろう。
探偵さんは、まず仕事の流れについて
説明を始めた。
基本的には尾行による追跡調査だそうだ。
最新技術をもってすれば、
盗聴や通信の解析なんて簡単だと思ったけど
そうもいかないらしい。
「中絶手術をした病院から情報を入手する事は
できないんですか？」
「できなくはないですが、非常に難しいです。
それより尾行して現場を押さえましょう。
過去の事より、現在です」
不倫は既に終わってるかもしれない。
だとしたら尾行する事になんの意味があるのか。
証拠の品を見せながら、状況を改めて説明した。
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