サブプライムローン問題との関係。結果的にAIGを追い詰めたCDSの罪と罰
CDSの歴史は浅く、1990年代中頃にロンドン市場で取引が始まったとされています。
その後世界中で活発に取引が行われるようになり、ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)が契約書の雛形を作成した2001年以降、爆発的な普及を見せます。
ISDAによると、2001年には1兆ドルにも満たなかった市場は、2007年には約62兆ドルにまで発展し、CDSは金融業界において非常に重要な市場の一つと呼べるレベルまで拡大しました。
しかし、2007年頃からのサブプライムローンの焦げ付きによって、金融業界全体の様相が急速に悪化します。
2008年の9月にはアメリカの大手証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻し、その直後には大手生命保険会社のAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の経営危機が明らかになりました。
この背景には、AIGが、リーマン・ブラザーズの保有していた債券についてCDSによる多額の保証を行っていたために、リーマンの破綻によって一気に押し寄せたしわ寄せに対応しきれなくなったことが原因としてあります。
ちなみに、この時AIG(厳密には一部門であるAIG・FP)が負担しなければならなかった元本の総額は4,410億ドル。
仮に、この補償額にAIGが押しつぶされてしまった場合、CDSを購入していた投資家たちも多額の負債を負うことになり、連鎖的に破綻を起こす可能性がありました。
この、CDS市場全体のみならずアメリカ金融市場、ひいてはアメリカ経済全体への影響を危惧したFRB(連邦準備制度理事会)は、AIGに融資することを決定し、結果としてAIGは政府の管理下で経営再建が行われることとなり、なんとか経営破綻を免れます。
しかし、その後金融危機は収まったものの、CDSの市場は減退してしまった、という歴史があります。
”CDSというのは、非常に簡単にいうと、相手が倒産したときの借金の肩代わりをする、保険みたいなものです”
倒産しなければ、CDSを発行しているドイツ銀行はまる儲けなんですが。
でも倒産したら、その借金を肩代わりしなければいけないわけですね。
ざっくりそういうニュアンスで捉えてくださいね。
で、ギリシャはいまだにEUの援助に頼っていて、逆にギリシャがやばいっていう話は今はきかれなくなりましたけど、いずれにしてもギリシャが破綻したらドイツ銀行は最低でも50兆円の損失が出ると言われています。
かつてはドイツ銀行はデリバティブの発行手数料を丸儲けしていて、トップ営業マンは、莫大なボーナスをもらっていたのです。
だいたい、一つの民間銀行が損失50兆円って普通ありえないですよね。
ドイツ銀行の株価低迷の危機は「ダンスケ銀行」との関係も原因なのか
ずっと株価が低迷していたドイツ銀行。
ドイツ銀行の株価低迷の危機原因は、色々と解説されてきましたが、どうやらこのダンスケ銀行の問題が一因のようです。
ドイツ銀行が、ダンスケ銀行の依頼で大量の「ロシアマネー」をドルに転換していたという話ですから、この問題はドイツ銀行に波及します。
つまり、ドイツ銀行の国際業務の今後の行方が、わからないということ。このまま国際業務を続けられるのかどうかという懸念が浮上してきます。
ダンスケ銀行の発表では、最大2,340億ドルということですが。。。
このダンスケ銀行に来た不明資金のドル転などは、海外業務が大規模なドイツ銀行に頼んでいたというわけです。