2011年 4月 7日 11:44 JST

混乱が続くアフリカ西部コートジボワールの最大都市アビジャン郊外のココディで6日午前(日本時間同日午後)、岡村善文大使の公邸が武装勢力に襲撃 され、大使や現地職員らが防弾扉の備え付けられた部屋に退避した。襲撃事件を受け、同国駐留フランス軍のヘリコプター部隊が同日夜(同7日早朝)、国連の 要請に基づき、大使救出作戦を実施。日本外務省は7日朝、大使が仏軍により救出されたと発表した。大使にけがなどはないという。大使と共に避難していた現 地職員、警備員7人も無事だった。

 AFP通信によると、岡村大使らはアビジャン南郊の仏軍基地で保護されている。

 昨年11月の大統領選後、退任を拒否し政権への居座りを図るバグボ大統領を支持する勢力と、大統領選の勝者として国際的に認知されているワタラ元首相派 の武力衝突で、コートジボワールは内戦状態に陥っている。日本大使公邸のあるココディにはバグボ大統領の公邸があり、ワタラ元首相派の部隊が攻撃、包囲し ている。大使公邸を襲撃したのはバグボ派とみられ、救出作戦に当たった仏軍と激しく交戦したという。

 これに先立ち、岡村大使がAFP通信に語ったところによると、武装勢力は「雇い兵」とみられ、6日朝、ロケット弾を撃ちながら大使公邸に侵入。公邸から機関銃や火砲、ロケット砲などをどこかに向けて撃っていたという。

 雇い兵らは大使公邸を略奪した上で、午後に出て行ったものの、邸前に陣取っていた。同大使は「警備員ら4人の行方が分かっておらず、生きているのかどうか分からない。邸内には多くの血が流れており、銃弾だらけだ」と語っていた。 

[時事通信社]



元首相派が大統領公邸を攻撃―コートジボワール

大統領選挙後の内乱状態が続くアフリカ西部のコートジボワールでは6日、退陣を拒否しているバグボ大統領の公邸を、国際社会が昨年の選挙で当選したと認めるワタラ元首相の部隊が攻撃した。かつての宗主国フランスは外交面での難問に直面している。

 アビジャンの大統領公邸近くの住民らによると、6日午前中いっぱい爆発音や銃声が聞こえたが、午後には静かになった。ワタラ派の広報担当者は同日遅く、 同派部隊が公邸の中庭に入ったと述べた。この作戦の目的はバグボ氏を捕らえることで、殺すことではないとしている。同氏は妻や何人かの側近とともに公邸地 下室にいるとみられる。

Emmanuel Braun/Reuters

バグボ氏派への攻撃を続けるワタラ氏派の兵士(4日、コートジボワール・アビジャン)

 広報担当者は電話インタビューで、「バグボ氏が公邸から立ち去ることを拒否したため、攻撃に出た」とし、「彼は自分の軍隊の態勢を立て直しを期待して時間稼ぎをしようとしている」と語った。

 これに先立ち5日に行われた交渉では、地下室から出るようにとの説得は失敗した。このことは政治的生き残りの技術に絶大な自信を持つバグボ氏をよく表している。

 英シンクタンク、王立国際問題研究所のアフリカ・プログラムの幹部、トマス・カーギル氏は、こうした自信は分裂した国内で依然弱まっていない大統領への 支持に根ざしているようだと述べ、だれが新しいリーダーになるにせよ、バグボ氏の信奉者を味方に引き込むという難しい課題をこなさなければならないと指摘 した。その上で、「バグボ氏はシェークスピアの悲劇だ」とし、「全てがうまくいかずに、ワタラ派がドアの前に迫っても、彼はこれを乗り切れると信じてい る」と述べた。

 バグボ氏は5日の仏テレビ放送とのインタビューで、大統領選挙での敗北を認めようとしなかった。同氏は、自分を排除しようとするフランスの謀略があると し、現在の危機的状況をワタラ氏との対話で解決したいとしている。バグボ氏は「一国の運命が外国の首都でポーカーゲームのようにもてあそばれていることに ひどく驚いている」と強調した。

 バグボ氏の最後の抵抗が長引いていることで国連とフランスは微妙な立場に追い込まれた。仏・国連軍がバグボ派の重火器を破壊したことから、ワタラ派の部 隊は大統領公邸に進撃できた。国連は、これらの重火器が一般市民に向けられていたため破壊したとしているが、今度は当初間接的に支援していたワタラ派の部 隊からバグボ氏を保護する立場になった。

 国連の広報担当者は、交渉中はバグボ氏の保護はしていなかったものの、国連は現在両派に対応していると述べた。国連安全保障理事会の平和維持軍への指令には、「首相と協力して、政権メンバーを保護すること」が含まれているという。

 コートジボワールには二つの政権があり、国連は一つしか承認していない。昨年11月の大統領選後、国連はワタラ氏が54%の得票率を得たとの結果を認定 した。バグボ氏が退陣を拒否すると、米国と欧州連合(EU)はバグボ派に制裁を科した。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とアフリカ連合(AU) も退陣を要求している。

 アフリカ諸国の退陣支持はフランスの軍事介入の口実を提供した。だが、介入によってかつての宗主国フランスは宿敵と対峙せざるを得なくなった。

 バグボ氏は以前からフランスと対立を続けてきた。反政府勢力は2002年、その2年前に大統領に選ばれた同氏を倒そうとした。このときフランスは 3500人の兵士を派遣し、平和を取り戻したが、反政府勢力を抑え込むことはしなかった。同氏は、北部を支配する反政府勢力を支援しているとフランスを非 難。これに対して同国は反政府勢力への支援を否定し、その任務は一般市民と仏国民の保護だけだと、今回と同様の説明をした。

人為的に紛争を起こしている可能性がある。