残された時間はわずか | 土磨の輪

残された時間はわずか

先日の夜、とあるきっかけで、数年来のお付き合いがあり色々お世話になっている方と初打合せがありました。

農や食を通じて街づくりを考えていらっしゃる方、日々農と食の間に立って生産者の想いを野菜を通じてシェフに伝えていらっしゃる方。
立場は違えど、自分を含め農と食に関わる三人とその知人の方がお二人。

初打合せにも関わらず、それぞれの立場で全く同じ問題点と危機感を抱いていて、同じ方向を見ていたことにビックリしたのと、動いているのは自分だけではないことを嬉しく思いました。
ですが、テーブルに挙げた問題はどれも深刻で、どれも時間的猶予がありません。

『ベテランの高齢の生産者の方と夜に電話で話した翌日、あれほど元気だったのに逝去された』
『生産の現場は大半が70代の方で、この先作付け面積は減り耕作放棄地が増えるばかり』
『業として就農を目指す者に対して、研修受入先はただの労働力としか捉えておらず、独立のための研修、独立後のフォローなど考えていない』
『若手のシェフの方達が、野菜や生産現場のことを知らないまま、店舗運営に必要な経費的なことやマネジメントを習得する前に独立し、開業後数年で店を潰してしまう』
『生産の現場もシェフの現場も、技術や経験の継承が途絶えつつある』

これ以外にもまだまだ山積みでしたが、色々意見交換ができて今後も継続して連携しながら進めていきましょうとなりました。
次回が楽しみです。

以下、この打合せの時にも自分が話したことですが、それぞれの立場での現状を聞いて改めて感じたこと、進めなければいけないことを綴ります。
ちょっと長くなりますが。


生産の現場もシェフの現場も、中心となる30代から40代、50代の知識も経験もある方が少なくなっているように思います。
さらにその下の世代はもっと深刻です。
特に生産の現場で、経験のある世代は疲弊し始めています。
これに気付いている方はきっといらっしゃると思いますし、すでに取り組み始めている方もいらっしゃるでしょう。

「農業を守る」とか「次代の子供たちに環境を守る」という言葉を良く聞きますが、自分に言わせればそんなことは当たり前です。
では、それを言ったところで先に挙げた問題は解決されるでしょうか?
問題の本質はそこではないと自分は思っています。

『なぜ就農者が増えない?』
『なぜ若手のシェフが育たない(増えない)?』

ここを掘り下げて考えないと、何も変わらないのではないでしょうか。

将来の就農者、シェフは誰?
今を生きる子供たちじゃないでしょうか。
子供たちが目指すもの、目標とするものになっていないからじゃないですか?
また、その自分も含めた親世代の方が、農やシェフの仕事の本質を理解出来ていないから、仕事としての選択肢から外しているからじゃないでしょうか。
親世代が選択肢から外していれば、子供たちは知る由もありません。
かといって、子供たちに絶対に就農した方がいいよ!とか、シェフはいい仕事だよ!と言うつもりはありません。

これは子供たち自身が選ぶことだからです。

でも、いまの子供たちが「本物(リアル)」の農業とシェフに触れることはまずありません。
「本物」に触れなければ選びようもありませんよね。
長期的スパンでここを変えていかない限り、本質的な解決には繫がっていかないと思っています。
子供たちが「本物」に触れた経験は、その先の将来にきっと何かの役に立つはずですし、子供たちがまた次の世代に伝えていくことができます。

今から始めても遅いくらいかもしれませんが、これらの問題に対する取組みをお取引先シェフのご協力を得て、やっと当園で今年から始めます

mirai kids program(ミライキッズプログラム)


シェフの世界が抱える問題への解決方法は、既に自分の中で形が出来ています。
これは自分だけで全て出来る規模ではなく、資金的にもなかなか難しいです。
なので、まずは自分ができることから。


残されてる時間は限りなく少ないんだから。