CVP分析(損益分岐分析)の具体例
簿記(TOP)>工業簿記2級>CVP分析(損益分岐分析)の具体例
この記事には改訂版がございます。改訂版はCVP分析(損益分岐分析)をご覧下さい。
CVP分析(損益分岐分析)の具体例についてお伝えします。
資料
1.販売単価 50,000円
2.変動費 製品単位あたり変動製造原価 27,000円
製品単位あたり変動販売費 3,000円
3.固定費 固定製造間接費 6,000,000円
固定販売費 2,500,000円
固定一般管理費 1,500,000円
4.年間販売実績数量 800個
なお、期首・期末の製品・仕掛品はないものとする。
これらの資料をもとに「損益分岐点販売数量」「損益分岐点売上高」「安全率」「利益を12,000,000円出すために必要な販売数量」を求めてみましょう。
考え方・解答
損益分岐点販売数量
損益分岐点販売数量とは「利益が0となるときの販売数量」のことです。
まずは1個商品を販売したときにどれだけの貢献利益が発生するのかを考えます。
1個販売すると売上が50,000円発生しますが、1個製品を製造するのに変動製造原価が27,000円と1個製品を販売するのに変動販売費が3,000円発生するので1個あたりの貢献利益は「50,000円-27,000円-3,000円=」20,000円発生します。
1個あたりの貢献利益が20,000円発生するということは、2個売れれば40,000円、3個売れれば60,000円の貢献利益が発生するということです。
当期の固定費は(固定製造間接費6,000,000円+固定販売費2,500,000円+固定一般管理費1,500,000円=)10,000,000円です。
もし1個しか売れなければ貢献利益20,000円-固定費10,000,000円=-9,980,000円となり9,980,000円の損失となります。
もし2個しか売れなければ貢献利益40,000円-固定費10,000,000円=-9,960,000円となり9,960,000円の損失となります。
このように考えていくと、利益が0(損失が0)となるときは貢献利益が10,000,000円のときだと分かります。
もし貢献利益が10,000,000円だったら、貢献利益10,000,000円-固定費10,000,000円=0となり利益0(損失0)となります。
では貢献利益が10,000,000円となるとき、販売数量は何個でしょうか。
1個あたりの貢献利益が20,000円発生します。2個売れれば40,000円、3個売れれば60,000円の貢献利益が発生します。
貢献利益10,000,000円を1個あたりの貢献利益20,000で割ることで貢献利益が10,000,000円となるときの販売数量が求まります。
貢献利益10,000,000円÷1個あたりの貢献利益20,000円=販売数量500個
となり、損益分岐点販売数量は500個となります。
損益分岐点売上高
損益分岐点売上高とは「利益が0となるときの売上高」のことです。
利益が0となるときの販売数量は500個とすでに求めています。
販売単価は50,000円です。
よって損益分岐点販売数量は販売単価50,000円×販売数量500個=25,000,000円となります。
安全率
安全率とは現在の販売量と損益分岐点における販売量がどれだけ離れているかを表す比率で、この比率が大きいほど安全です。
販売数量が安全率だけ下がっても損失にならないということを表します。
安全率=(販売量800個-損益分岐点販売数量500個)÷販売量800個=37.5%
安全率は37.5%となります。
安全率が37.5%ということは、もし販売数量が37.5%下がっても損失にはならないということを表します。
利益を12,000,000円出すために必要な販売数量
損益分岐点販売数量は500個で、1個あたりの貢献利益が20,000円だとすでに計算しました。
これは500個販売した時点で損益が0となり、それから1個売り上げるごとに20,000円ずつ利益が発生していくということが分かります。
12,000,000円の利益を出すためには12,000,000円÷20,000円=600個さらに売る必要があります。
よって利益を12,000,000円出すために必要な販売数量は500個+600個=1,100個となります。