こんにちは

 

最近は少なくなりましたが、戦前の新聞には怪異に関する記事がたくさんありました。民俗学者の湯本豪一氏が編集した『怪異妖怪記事資料集成』四巻(国書刊行会)が決定版とでもいうべき大著なので、そこから拾ったものをご紹介します。なお、読みやすくするため、意訳したものになります。

 

幽霊研究   

  明治16年3月29日/静岡新聞 

 

 熊本県下熊本区魚谷町三丁目、写真師松永彦次郎の経験した話。
 撮った写真に幽霊が写った。3名の兵卒がテーブルを前にして椅子に座っている。1名だけ立っている。背後2尺ほどに五分刈りの散髪、三十歳ぐらいの男がいる。右腕には白い布が巻かれていた。これは十年の役に賊徒の用ゐたる合印なり。胸から上だけがぼんやりと浮かんでいるさまなり。目つきがすさまじい有様である。3名の兵卒は非番で撮影に来ていたところ、写ったらしい。みな、十年の役で薩軍の多くの死体を処理した。幽霊はその魂であろう。

 

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●現物はさがしましたが、わかりませんでした。

●田原坂資料館(熊本市北区植木町豊岡858番地1)パンフレット

https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=16402&sub_id=36&flid=171410

 

著作権がありますので、こちらをご覧ください。

↑↑このパンフレットの「検証展示室」の写真に当時の薩軍兵士の人形があり、左腕に白い布を巻いています。↑↑


注1. 下熊本区魚谷町 下熊本区は不詳。魚屋町は熊本駅と熊本城の間に現在もあります。

注2. 2尺 60.606cm

注3. 十年の役 西南戦争のこと。

 

 

◆注はどこ山が調べたものです

 

●参考文献 湯本豪一編『明治期怪異妖怪記事資料集成』2009年・国書刊行会