まさかこんなところで役に立つとは思いもしなかった一冊である。何を言おうかこの雑誌、特集内容そのものよりも、付録だった落語CDに惹かれて買った一冊である。何せ「昭和の名人 志ん生・圓生 大晦日の夜噺」である。惹かれてしまうのもやむをえまい。これだけでも十分すぎる魅力がある。

 

さて実際のところこの雑誌の内容に目を通したのはずいぶん離れてこれが発行された2012年末から10年後、2022年の末頃である。押入れから引っ張り出されたこの雑誌、実は奈良の特集である。わかるかいこの感動。知りたかったよ2年前に。あの苦労した資料集めの日々は何処へ。2年ほど前に散々一年半かけて調べたのでわざわざ手持ちの資料を増やす必要もなかったのだがありがたく読ませていただいた。

 

この記事の内容は旅行の記録にしようかと思う。もう一年経ったのだがメモは残してある。何せ漢文のノートにメモをしていたのだ。後生大事に保管してある。

 

決行日は3/29-3/31。カレンダーを振り返ると明らかに頭のおかしいスケジュールである。

29日の予定を見てみよう。午前中に世田谷区にて馬場先生の「探究倫理」についての講座を受けた後、一度家へ帰り制服と食料(プロテインバーやSOYJOY)、塾の教材、ノートを詰めたMILLETのSAAS FEE(30+5)を背負い、18:30からの数学の講座を受け21:30に終えると、ちゃちゃっと挨拶をしてすぐさま東京駅へ移動。23:10発の高速バスに乗って奈良へと移動を始めたのだ。

 

バスの中でちまちまとTwitterを開いていたようだ。遡ると「ちょっくら奈良行ってくるぜ」と書いている。絶対そんな気軽に行くものじゃない。

 

目が覚めるとそこは京都だった。西日本へは沖縄以外行ったことがないので、初めてみた京都は朝7時、バスの車窓からの景色である。変なタワーが見えた。なんだあれは。

 

8時、奈良駅に到着した。思ったよりも田舎ではない。建物は綺麗だし、広場には通勤ラッシュを過ぎたのか閑散として静謐である。下は観光案内所だ。よきかな。

 

この時期は桜が綺麗だった。近畿鉄道に乗り、近鉄奈良駅から斑鳩駅へ。朝早くからこんなザックをへ追っている人間はここまでくるともういない。人があまりにもいないのでやや寂しい気分になる。道中、祖母とその孫らしき子らが歩いていた。まだ寒さの残る時期だというのに夏かと思うような方を出した爽やかな格好をしている。祖母はいつものことなのだろうか、やや呆れたように、カーディガンを着たら、と話しかけているが彼女らは笑って心配性だなあ、と大人びた雰囲気を身に纏ってヒールの高いサンダルをパタパタと音をさせながら早歩きで歩いていく。どうやら老女は彼らの迎えに来たらしい。これから家へ案内するのだろうか。

 

 

 

良さげな田舎道を通ると見えてくるのはまっすぐな道だ。まだ朝早いからか、周辺の宿泊施設から散歩に来た夫婦が気持ちよさそうに歩いている。息を吸い込めばほのかに混じる桜の中に清涼感のある針葉樹林がツンと鼻を刺す。まっすぐ進むと後ろの道路の騒音が遠のき、法隆寺の門が見えて来た。

 

 

 

 

正直これで私はもう満足である。昇天したね間違いなく。見よ、あの麗しき曲線美、裳階の儚げなゆらめきもさることながらこの建築の素晴らしさよ。これが最古?馬鹿いえこのような美麗な建物など今は何処にあるものか。心柱に支えられフラクタルが如く重なる屋根、なんと美しいことよ。桜で烟る姿は人へときめきを与えんとばかりに致死量の視覚情報を供給する。

 

続きはまた今度。これでもまだ午前なのだ。午後の内容がまだ書けていない。参考資料は次回まとめる。

 

コストについて

総額2万ほどだった覚えがある。半年ほど前に計画書を母に提出し父を説得(という名の宣言)した。高速バスでは片道約六千から七千円台かかり、食事にかける余裕なんかはなかったので(今思うと勿体無い気もするが)奈良駅周辺のサイゼリアで時間を潰すために入ったくらいである。この時私は初めてサイゼリアに入った。彼らの端数処理に感動した。お土産は母におかき、父にお守り、自分用に味噌、友人たちのために飴とお煎餅を買い、その場で鹿のために鹿せんべいを買った。

ちなみに友人は奈良土産へのリアクションは薄かった。どうやら兄が奈良の大学に合格し、彼を除く家族全員が奈良へ行っていたらしい。水ゼリーで3食過ごしていた。不摂生。

 

雑誌、サライについてあまり触れていなかったが、個人的にはるるぶと並ぶのではなどと思っている。年齢層がやや上な気もするがその分特集が面白い。旅情報というよりかは、その場所の歴史などにフォーカスしている印象がある。今回参考にしたサライは、10年前のものであったし行動予定などはあらかじめ地図も斑鳩京、西院伽藍のものは全て印刷しておいた。結局紙が一番良い。