高価でも最高の性能を求めると言うのは、ある意味技術者の本筋である。これに対して、例え最高の性能では無くても、色々な技術を盛り込んで、十二分の性能を確保すると言うのは、ビジネス上重要になる。とは言え、これ自体も技術であるのには、変わらない。
昔古巣では、かなり安い原料を組み合わせても、競合他社の製品に引けを取らないばかりか、より優れた性能を発揮させるなどその知識経験は、学びきれなかった程、高度なものだった。だが、そのときに気が付いたのは、最高の原料と処方技術を使えば絶対に負けない性能を作り出せると言う事。例えば、エンジンオイルや作動油に使われる熱安定性の高いZnDTPは、基本は、何処のメーカーでも同じである。ところが、製造プロセスの中で、ある反応物質を過剰に加える事で性能がアップする。さらに、途中にあえて特殊な物質を加えると、副生成物が増え、これがさらに熱安定性がアップする。それゆえ、他社製のZnDTPとは、同じアルコールから作り出せるものでありながら、この違いを出すと言うのは、まさに技術の結晶である。
これと同じ様な手法を使って作り上げたのが、NewGA-01で、既に2年半たっても、他社を上回る性能との評価が高いのも、原料から製造方法、処理方法まで、全てが新しいからに他ならない。
この原料も、将来供給不足が生じる故、新たな清浄剤の開発に手を付けたが、これが自分にとって最後の研究開発だと考えている。現段階で、より優れた性能が見えてはいるが、本質的には、現行原料の方が理論的に優れている点がある。これを新たな原料と反応技術、分子設計でそれに追いつき、本来の清浄性能では、現行を上回るようにしたいのだ。
そんな中、最悪、安い似たような原料を、処方技術で乗り切ると言う事も考えて行かないと、突然原料が切れたら、生産が途切れる。つまり、限られた中でも製造を止めないと言う事も重要だと思う。