暴れて診療を拒否するような人が搬送されることがあります

 

何らかの理由(アルコールはじめとした中毒、中枢神経疾患、代謝異常など)があり、本人以外の誰かが救急要請してERに搬送されてくるパターンが多いと思います

 

暴れる患者さんがERに来たら、我々は3つのことを考えなくてはなりません

 

(1)自分とスタッフの安全をどのように担保するか

(2)患者さん本人の安全をどのように担保するか

(3)この人なんで暴れてるん?

 

 

 

患者さんはお話しもできない状態のことが多いのでどうにもなりません

 

とにかく落ち着かせなくては、自分やスタッフの安全が守れないばかりか、患者さんも医療を受ける機会を損失してしまい、みんな不幸になります

 

ではどうしましょうというと、薬剤による鎮静を考えることになります

 

 

 

個人的経験では、ミダゾラムやハロペリドールを筋注して落ち着かせることが多いです

 

ただミダゾラムは呼吸抑制が嫌だし血圧下がるのも嫌だし、とりあえずハロペリドールか……ということで、第一選択はハロペリドールとすることが多くなっているかもしれません

 

というか、個人的にはハロペリドールを多用しています

 

 

 

何が一番鎮静に効くかというのは、救急外来で働く誰もが抱く疑問だと思います

 

この度、それを真面目に調査してくれた方々が、論文を出してくれました

 

Klein LR, et al. Intramuscular Midazolam, Olanzapine, Ziprasidone, or Haloperidol for Treating Acute Agitation in the Emergency Department.

Ann Emerg Med. 2018 Jun 6. pii: S0196-0644(18)30373-1. 

https://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(18)30373-1/fulltext

 

 

単施設研究ではありますが、737人の暴れる患者に対して様々な鎮静薬を筋注し、15分後にどれだけ鎮静されたかを比較しています

 

使われた薬剤は

 

ハロペリドール5mg

ジプラシドン20mg(日本未承認)

オランザピン10mg

ミダゾラム5mg

ハロペリドール10mgです

 

僕の愛するハロペリドール様は、5mgと10mgで登板してくれています

 

鎮静具合の評価はAltered Mental Status Scaleを用いています。さぁ結果やいかに!?

 

 

※Altered Mental Status Scale

反応性、話す様子、表情、開眼度合いから興奮鎮静具合を判定するスケーリング。-4~+4までのスコアで、0点が正常、+方向にいくほど興奮、-方向にいくほど鎮静されていることになる。今回は0点以下の場合に適切に鎮静されたと評価。「暴れたり暴言吐いたりするほどではないが、不安そうだったりソワソワしている」という状態は「+1」と評価される。

 

 

 

 

今回の対象となった737人のうち、88%が急性アルコール中毒患者だったようです

日本も米国も変わらないなと思わされます

 

 

気になる鎮静の効き具合は、なんとミダゾラムが最も効いたということです

 

7割程度の患者が、15分後にAltered Mental Status Scaleが0点以下となったようです

 

なお、ハロペリドールは5mg投与しても10mg投与しても4割程度しか鎮静を達成できなかったということ

オランザピンの方が効いています……

 

副作用についてはそれぞれの薬剤で特に差はなかったということで、ERで暴れている人がいたら、もしかしたらミダゾラムを筋注した方が管理しやすいのかもしれません

 

呼吸抑制や血圧低下が怖いからと思ってハロ様に頼っておりましたが、こうやってしっかりデータを取ってみることは大事だなと改めて思わされた論文でした