~であい~
あなたは運命の出会いって信じますか?
私は・・・。
就職してしばらくたった頃、夢を見た。
アタシの夢はいつも色がなかったのに、その日初めて色付きの夢を見たので今でもはっきりと覚えている。
アタシはどこか知らない部屋にいて、その真ん中には大きな箱が寂しげにおいてあった。
そして、そこからゴソゴソという音が聞こえてくる。
中になにかいる様子だ。
横を見るとこの箱の鍵らしきものが光っている。
「ねぇ、いるんでしょ?」
「?」
「ここから、出して」
「?」
「聞こえてるのは知ってるんだからね」
「・・・」
「小夜!!」
夢の中のアタシはここで耐え切れずに箱を開けた。
箱の中は・・・。
起きると現実なのか、また夢なのかわからずにただボーっとしていた。
唐突にさっきの声が耳に響いてくる。
「小夜!!」
振り向いて、机の上を見ても何もない。
「小夜!!」
声の主はどこにもいない。
しいて言うならば・・・アタシの頭の中にイル。