アルコールで滲む夜 | 待ってたら季節はかわる

待ってたら季節はかわる

自作詩、愚痴、諦め、黄昏
言い訳、弁解、言い逃れ

台所の流しに
ビールの空き缶が並ぶ
この休みはずっと
アルコールを流し込んでた
誰に会うわけでなく
どこにいくでもなくて
500を一本づつ
なにをつまむでもなく
ちびちびと呑んでいた

ビールでは
艶歌になりゃしないし
ジャズにもならなくて
J-POPで有耶無耶にする
日本酒なら
冬にしんしんと、なぁ、酒よっていいながら
呑んでいたいし
ウィスキーなら
秋口に飄々と、もう少し、しゃべりましょ
だなんて艶っぽく呑んでみたい
ワインほどの上品さはないから
諦めて
夏になれば
やっぱりビールでハイになって
見慣れた女にいきなり恋をしてしまったりするのかな
身勝手なことばかりだね
夏の男は
薄着になってたわわに揺れたら
それだけで落ちてしまうのだから
造作無い
夏の恋なんて
ぱっと光って咲いた打上げ花火だから
ビールの泡みたいなもんだ
笑えないね

大してなにもつままないで
アルコールばかりを詰めるから
風呂で目眩がして
あがっても気分が悪い
そんな毎日
自暴自棄ではないんだ
こんなのは
痛めつけるうちにはいらないよ
薬を詰め込むよりはほんとに軽い
なにかに酔いたいわけでもないんだけれど
なんとなく
そんなに呑みたいわけじゃないけど
なんとなくね

ふわふわしながら
きみに送ったメールの履歴を消していく
残っていたら
また簡単にきみにメールしてしまいそうだから
くだらないことばかりいいそうだから
でも
アドレス帳からは消せないんだ
意気地なしだね
酒は火種にはならないのだね
わかってる
わかってるさ

明日の資源ゴミに
アルミ缶を捨てて
流しには
花を飾ろう
花瓶なんてないからさ
昔に習って
ワンカップ大関のラベルのコップで
青色が映える花の色を選んで
ぼくのいのちへの
手向けの花さ
一輪だけ
無造作に刺して…