ハリウッド版All you need is kill ~原作のいいとこを完全に未再現 | 圭一ブログ

圭一ブログ

圭一のブログです。1984年宮崎県生まれ

結構楽しみにしていた映画のオール・ユー・ニード・イズ・キル。
私も公開直後に観に行ったのであります。

ラノベが、そして「元祖」ループものがハリウッド映画になるということは、日本の出版業界においては間違いなく歴史に残る事件である。

しかしこれが、ワースト映画へ侮蔑を込めて贈られる「ラジー賞」を取るのではないかというくらい酷かったのでさらに大事件。

要因はあげるとキリがないけれども、私の考える最大の残念なポイントは以下の通り。ネタバレ注意。

この作品の最大のポイントと言うか趣向は、
「最愛の人と全力で殺しあわねばならない」ための理由づけとして「ループ」というネタが使われている点である。

つまりループ自体は手段であり目的ではない。これが私の解釈する、オール・ユー・ニード・イズ・キル論。

だから映画は、何やら見当違いな、別作品のようにしか捉えられない。
換骨奪胎という言葉があるが、肝心な要素は何一つ映画に生かされていないので逆に凄い。
個人的には、これからあの素晴らしい小説を読む人のために、映画は無関係ということにしてほしい。

ループもの、というのは、キャラクターがその同一性を保ちながら、同じストーリーを再現するということであって、それは物語の構造的に言うと、キャラクターのキャラクター性を抽出するという機能である。
パラレルワールドという趣向と、似ているようでまた違う。
キャラクターがその生を何度も反復して生きなおす、ということには人間と違い成熟できないキャラクターなりの成熟の可能性が秘められている。

「ループ論」については、またいつか改めて。
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)/集英社

トム・クルーズの写真があるのは、気のせい。
実に素晴らしい小説。しかも短時間で読める。
All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)/集英社

マンガ版も、また違った良さがある。
内容よりも、そのマーケティング戦略に脱帽だ。