模倣犯が事件を起こした、なんて単純なものではなく、我が子が模倣犯になることを恐れた父親が……というところに、この事件の哀しさがある。


 だが、本人が亡くなっても、Twitterのアカウントや、ゲームのキャラクターは生きている。



息子が模倣犯になることを恐れ…


 東京都練馬区の民家で起きた殺人事件で、無職の長男(44)を刺したとして、殺人未遂容疑で逮捕された元農林水産省事務次官の熊沢英昭容疑者(76)が調べに対し、川崎市で私立カリタス小学校の児童ら20人が殺傷された事件を挙げ、「長男も児童らに危害を加えるのではないかと心配した」という趣旨の供述をしていることが警視庁幹部への取材でわかった。

 警視庁練馬署は、川崎の事件が長男を刺したきっかけの一つになったとみている。


 捜査関係者によると、長男は約30年前の中学2年の時から家庭内暴力をふるっていた。

 実家を離れた時期もあったが、5月下旬に実家に戻ると再び、両親への暴力を繰り返すようになった。

 仕事はせず、家にひきこもって長時間、インターネットをしていたという。


 事件前には、自宅に隣接する小学校の運動会の音がうるさいと騒ぎ出し、熊沢容疑者と口論になった。熊沢容疑者はその後、自宅にあった包丁で長男を刺したとされる。1階和室で倒れていた長男は胸や首など上半身を中心に10か所以上の刺し傷があり、搬送先の病院で死亡した。


 調べに対し、熊沢容疑者は長男を刺したことを認め、動機については「周囲に迷惑をかけられないと思った」と供述。

 事件4日前の5月28日に川崎市多摩区で起きた51歳の男による殺傷事件の報道を見て、長男も事件を起こすおそれがあると危惧したと話しているという。

(引用元 https://www.yomiuri.co.jp/national/20190603-OYT1T50118/)


 地位があったからこそ、息子の現状を、誰にも伝えられないし、見られたくない。そして、SOSを出せないまま……。責任感の強い人だったのだろう。だが、違う責任の全うの仕方もあった。


 まずは、息子の姿を受け止めるところから……。



息子はドラクエ10の有名プレイヤー


 今回亡くなった熊沢英一郎さん(44)は、オンラインゲーム ドラゴンクエスト10をサービス開始初日からプレイし、ブログやTwitterで情報発信をするプレイヤーだったのだが、ブログのコメントで、元農水事務次官の息子だということを自慢していた。


レアル(神崎ひろみ、熊沢)

『あの本名、熊沢英一郎と申しまして元事務次官の愚息であります。

凄い人でしょ?w

国家レベルの人なんですw』

(引用元 2019年2月17日19:53 ブログ)



ドラクエ10ステラ神DQX(熊澤英一郎)@hiromi_kanzaki

『私の一族って検索すると出る人ばかりだから言えなかっただけです。』

(引用元 19:51 - 2019年5月28日 Twitter)


ドラクエ10ステラ神DQX(熊澤英一郎)

@hiromi_kanzaki

『あのな私は、リアルで現実世界では、貴族のようなリアル金持ちないです。

君達なんかと同類にしないでくれないか。

これが言いたかっただけです。』

(引用元 19:43 - 2019年5月31日 Twitter)


 このキャラクターが現在もログイン中。

 ゲーム中に亡くなったのか、ゲームをしていない時でもキャラクターだけログインさせたまま放置して、他の事をするタイプだったのかはわからないが、


『ニュースで報道された

ドラクエ10プレイヤーのステラ神がインしたまま亡くなった模様

現在もゲーム内ではログインしています』

(引用元 13:33 - 2019年6月2日 Twitter)


『農水省の元事務次官に殺された息子、ニートで月30万以上おこずかいもらってて、母親に暴力ふるってて、ドラクエ10にログインしたまま死んだので、ゲーム内でみんなからキャラが罵倒されながらザオラルかけられてるとかいう凄まじすぎる状況』

5:05 - 2019年6月2日 Twitter

(※ザオラル = 復活の呪文)


 亡くなった人を貶めるのは、理由がなんであれ褒められることではないが、多くの人が同情しづらい状況ではあったようだ。


 このタイプの事件や孤独死が、増えそうな気はする。新たなフォロー体制が必要な気もするが……。