最近arinkoの引っ越し先を追い回しては、殺虫剤を撒き散らしている女将です。「家賃払えない奴はとっとと出てってくれ!」とどなりちらすゴウツク大家の気分。こんな私でも成就すること出来るでしょうか?
さて、日課の朝の散歩から戻ると、なにやら猫たちが庭でごそごそしている。「なんだ?バッタでも捕まえたか?」と近寄ってみると、



見えるだろうか?グローブの様な手



モグラ君です。I am a mole and I live in a hole! 本物はサングラスをかけていません。

モグラ、といえば思い出すヒトがいる。
それは羽根物がどのパチンコホールにも置いてあった時代。女将は「お竜さん」と「ファインプレー」にどっぷりはまり、残業と称して毎日仕事帰りに打っていた。そしてそれはイギリスに語学留学するために会社を辞めると、もう野放し状態。残業がフルタイム出勤に昇格。渡英までの一ヶ月間、開店から閉店まで打ち続けた。

毎朝、シャワーを浴びたそのままの濡れた頭でホールに「ご出勤」。一番乗り!と息せき切ってお目当ての台に行くと、必ず座っているのである、

モグラが!

いや、同じくそのパチンコ屋の常連であった弟と影で「モグラさん」と呼んでるオジサンが!丸顔で茶色に日焼けしていて、笑うとキヒヒって言いそうな黒い目。

パチンコ屋というのは、名前も知らないのに毎日顔を合わせていると自然と妙な一体感(部活に通じる)が出てきて、お互い励ましあったりすることもしばしば。勝っている者が負けている者に「黙って」コーヒーを差し出したり。例に漏れず、私とモグさんも同じ部活員であるゆえ、既に言葉を交わす間柄であった。

「まーた取られちゃった!今日は私が一番だと思ってたのに!」

20代の小娘(女将のこと)の生意気な態度にも、怒ることなく微笑んで聞き流すモグさん。そしてその台を打ち止めるとそっと女将に譲ってくれるのだった。

しかし、モグさん、なんだってあんなに早くパチンコ屋に来れるんだ?
口に出さねど、いつも不思議に思っていた。でもそれについて語るのはタブーである雰囲気があるのもまたパチンコ屋。私とモグさんのちょっと風変わりな友情はそうして続けられた。

そして、あと数日で渡英と相成った時、モグさんが私と、もう一人常連の男の子を飲みに誘ってきた。その日のモグさんが絶好調であったのを知っていたので、遠慮無く誘いに乗る女将。近くの居酒屋で、その奇妙な飲み会は開かれた。

今となっては何を話したのかあまり覚えてない。覚えているのは、常連の男の子に、「あんたは、水球顔してる!水球やってたでしょ?」と勝手な判断下したのと(「違います」って泣きそうな顔していたのが印象的だ)、モグさんに、「お仕事はなにやってんですか?」って聞いたこと。酒の勢いで、ついにタブーを破ってしまったのだ。

モグさん、黙って微笑むだけだったなあ。結局どこに住んでるのかも分からなかった。渋谷駅、って冗談っぽく言ってたけど、それが妙に真実味帯びてた。

結局モグさんとはそれっきり。
パチンコ屋で知り合う人達との「友人関係」って一種独特な雰囲気があると思うのだが、私だけだろうか。