復職の日付も決まり、徐々に荷造りを始めていった。
引っ越し前に改めて母に感謝の気持ちを伝えようと決めていた。
その頃にはカフェでお茶を飲むこともできるようになっていたので(カフェも最初はじっと座っていることが苦痛だった)、
レターセットを買ってコーヒーチェーン店で母へ手紙を書いた。
なんて書いたのかあんまり覚えていないが、今まで書いたどの手紙よりも長文になった。
それでも感謝の気持ちは伝えきれないし、今後の親孝行でこの恩を返せる自信もない。
母には、見返りを求めない大きな愛を本当にたくさんもらった。
引っ越し業者が来る日、なぜか猛烈に喉の違和感が強くなった。
嫌な予感がする。
でも引っ越し場所も日付も決まっているのでキャンセルができない。
案の定、業者の人が来てからしばらくすると立っているのがつらい緊張感と不安感に襲われた。
前日までは引っ越しにワクワクしていたはずなのに。
タイミングよく母が仕事から戻ってきて、そのまま母に引っ越し作業への対応を頼んで私はすぐさま自室で布団にくるまった。
「やばい。こんなんじゃ引っ越しなんてできない。また延期しないといけないのだろうか。でも部屋は契約してしまった。どうしよう。」
頭の中を不安と現実がぐるぐる回って自分のふがいなさに涙が止まらない。
また自分自身に裏切られたように感じた。
その時、誰かに励ましてほしくて、なぜか出会い系アプリで知り合ったばかりの彼に連絡していた。
彼はいきなりの電話に答えてくれて、泣きながら結論のない話をする私に耳を傾けてくれた。
誰かに思いをぶちまけたことで、心が軽くなって混乱していた頭が整理された。
電話が終わるころには「なるようになる、大丈夫」と気持ちが落ち着いていた。