リジー・ボーデン、女性殺人鬼みたいなイメージ、Wiki見たら1892年、斧で惨殺された実父継母殺害事件の被疑者となるも裁判で無罪になったとあった。

他に考えられる人物がいない、限りなく犯人であるが決め手の証拠がなく未解決、この謎の事件はアメリカで伝説化する。その名を冠したバンド。

 

 

LIZZY BORDEN

 

 

83年、LAでVoのリジー・ボーデン、Drのジョーイ・スコット・ハージェスを中心に結成。(リジーとジョーイは兄弟)Bのマイク・デイヴィス、Gのトニー・マツザックを加えLAの老舗ライブハウス、トルバドールを中心にライブ活動を行い人気を得る。同年にデモ制作、そこから “Rod Of Iron” が「METAL MASSACRE IV」に収録、

 

METAL MASSACRE IV

 

 

もう一人のギタリスト、ジーン・アレンが加入、5人編成となってMETAL BLADEから84年、このEPでデビュー。

 

GIVE ‘EM THE AXE

 

 

BURRN創刊号レビューに載っていたこと、そしてRAINBOWの “Long Live Rock ’n’ Roll” のカヴァーをやっていたこともあって日本でも話題になって輸入盤がよく売れた。

そのカヴァーからも分かるように基礎にヨーロッパ型の正統派、当然NWOBHMも含まれる、そこにこの時期のLAメタル要素、それだけだと普通の初期LAメタルバンドと同じだが彼らの場合シアトリカル、ショックロックな要素、アリス・クーパーやKISSなんかの影響が強く出てる。

そのことが知られるのはもう少し後のこと、この時点では普通のUS正統派、光る物はあるけどまだまだって感じ。

 

 

タイトル曲であり代表曲 "Give 'Em The Axe"よりも疾走感ある "No Time To Lose" のがカッコいい、名曲だと思う。

 

EP自体の日本発売は見送られたが(当時)85年のフルアルバムはSMS/FEMSから日本盤が出た。

 

LOVE YOU TO PIECES

 

 

ヨーロッパ型US正統派メタル、ARMORED SAINT1stやMALICE1st、OMEN2ndなんかと並ぶアメリカンメタル史に残る傑作。

リフの疾走感ときらめくツインギター、メロディにこだわったドラマティックな曲展開はJUDASやMAIDENなどヨーロピアンの様式を正しく受け継ぎ、そこにアメリカンな華やかさと軽快さ、さらにシアトリカルさも取り込んで独自の世界を展開、オリジナリティあふれるLIZZY BORDENのメタルをすでに完成させている。リジーがハイトーンの歌えるVoであることも強い。全曲最高、捨て曲なしの名盤。特にラスト “Rod Of Iron” は超弩級の名曲。

 

 

リジーが女性名、そしてハイトーンであったためか有島氏が女性Voだと思い込んで書いたライナーが笑える。後に本人とのインタビューで謝罪、リジーが激怒していて斧で頭割られたらどうしようと怯えていたら本人は全然気にしていなかった、みたいな後日談もあったと思う。

CD化の際にライナーは変更されていて、今度はこの部分で笑ってしまった。

 

 

パイロが爆笑。

 

最初の「せーかっすわれ」は「Hello Suckers」の逆再生。

 

 

トニーが脱退、新たにアレックス・ネルソンが加入、バンドのルックスのレベルが上がった。

 

METAL BLADEの稼ぎ頭、看板バンドと言っていいほど期待されていたLIZZY BORDEN、早くも2枚組ライブアルバムを出してくる。

 

THE MURDERESS METAL ROAD SHOW

 

 

1stはもちろんEPもRAINBOWカヴァー以外(かわりにガンズも演ってたポール・マッカートニーの "Live And Let Die" を演ってる)全曲披露のスタジオアルバムを上回る強力ライブ。ラスト2曲はスタジオレコーディングの新曲。

 

 

ライブを観なければLIZZY BORDENの本質が伝わらないとの思いからかライブビデオも同時発売、

 

THE MURDERESS METAL ROAD SHOW LIVE

 

 

実際その通り、スタジオアルバム数倍の迫力とカッコよさ、当時死ぬほど観まくった。LIZZY BORDENを知りたけれはこのビデオが手っ取り早い。

 

ライブアルバムのおかげで同時期のメジャーLAメタルバンドと肩を並べるほど日本でも有名になる。

勢いに乗った86年の2ndフルアルバム。

 

MENACE TO SOCIETY

 

 

RATTやPOISONなどLAメタル系のプロデューサー/エンジニアとして知られるジム・ファラーシによってプロデュースされたメジャー感あふれる快作。これまでのヨーロピアンな暗さが減ってクリアーに、LAメタル寄りの明るさと軽快さが出た。ジャケにも表れているようにアメリカンを全面に打ち出してきた感じ。かといって決して軽薄になった訳でもない、正統派メタル好きも納得の充実度。MALICEの1stから2ndへの変化を思わせる。

 

 

曲の良さ、演奏技術、録音どれもメジャーバンドと同等のクオリティの高さがある。

 

87年、カヴァー曲を含むミニアルバム発表。

 

TERROR RISING

 

 

"Give 'Em The Axe" のリミックスVer.、JEFFERSON AIRPLANEの "White Rabbit" やTHE TUBESのカヴァー、他にライブとか新曲の寄せ集め。"White Rabbit" でBITCHのベッツィーとデュエット。日本盤も発売されたがジャケも内容も違う。

 

アレックスが脱退、元TERRIFFのジョー・ホームズが加入しての3rdアルバム。87年。

 

VISUAL LIES

 

 

前作に続いて軽快でかっちりクリアーなメジャー路線、ヨーロッパ感は一層減退したが、それでも軽薄にならず正統派としての深みはしっかりあってLIZZY BORDENのオリジナリティを完全に確立。曲が良いのももちろん歌メロやギターソロに強力なフックがあって耳を捉える、最後まで飽きさせない。80年代HR/HMとして一流の名作。

PVも制作された "Me Against The World" がヒット。ついに来日公演が実現、バンド全盛期を迎えたかに思われた。

 

 

「THE METAL YEARS」のサントラに "Born To Be Wild" のカヴァー収録、「BLACK ROSE」というB級ホラー映画に出演などという小ネタもありつつ、さらに上を目指そうというときツアーキャンセルなどのトラブルでマネージメントを離脱、ライブができなくなってギタリスト二人が脱退してしまう。ジョーは95年にオジーバンドに加入、世界的に有名になる。

 

ジョーイとマイクは健在ながら多数のゲストミュージシャンを迎えたリジーのソロプロジェクト風4thアルバム。89年。

 

MASTER OF DISGUISE

 

 

Gに元KING KOBRAのデイヴィッド・マイケル・フィリップス、他にもARMORED SAINTのジョーイ・ヴェラ(B)など多くのミュージシャンが参加。

ミュージカル風、あるいはオペラティックと言えるほど大仰でコンセプトアルバムっぽい意欲作であったが日本ではあまり評判が良くなかった、話題にならなかったような覚えがある。非常に凝った作りなのに薄っぺらさを感じる、曲自体の魅力に乏しい。"We Got The Power" なんて普通の軽めのLAメタル。

好き嫌いを別にしたら今までの総決算的内容、でもそれがウケたかというと微妙、メタルの時代の終わりもあって日本での人気も落ちていった。

 

 

長い沈黙の後、アレックスが復帰しての5thアルバム「DEAL WITH THE DEVIL」を2000年に発表、順調な活動を続けていると思われた矢先、悲劇が襲う。2004年、アレックスが交通事故で他界。すでにLIZZY BORDENのことを追いかけてない時期ではあったが、とてもショックを受けたことを覚えている。R.I.P.

 

そのままバンドは解散するが2006年に再結成、2枚のアルバムを発表、積極的に活動中。tubeでPVやライブなど以前よりどぎつい姿での映像を観ることが出来る。

 

 

"Council For The Caldron"

 

"Red Rum"

 

"Warfare"

 

"Notorious"

 

"Stiletto (Voice Of Command)"

 

"Ultra Violence"

 

"Me Against The World"

 

"Eyes Of A Stranger"

 

"Master Of Disguise"

 

"Give 'Em The Axe"

 

"No Time To Lose"

 

"Rod Of Iron"