ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、作り話の天才。もういない、わたしの弟。

天使みたいだったしょうねんが、 この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。

ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて…。(本書裏表紙より)



短い物語の中に、温かいぬくもりが溢れていて、じっくりと読むことができました。


物語の中で、大きな事件や派手なアクションはありません。

少しだけ変わった弟を持つ、普通の姉弟が過ごす毎日を、姉の目線で静かに描いています。

物語のクライマックスとなる校庭のシーンも、すごく静かな情景なのですが、目の前に情景が広がり、なぜだかとても涙が出そうになりました。



本書の中で、主人公の弟は様々な動物の豆知識を披露していきます。果たしてそれは本当なのか? それとも作者の創作なのか? 気になりますが、あえて調べることはやめました。

「きっと本当だろう」そう思っていたほうが、なんだか楽しく過ごせそうな気がしますから。