一人暮らしの女性たちが次々と誘拐され、哀れな末路を迎えていた。

糸口すらつかめぬ警察。朝山風希刑事は、別件を担当中にもかかわらず、この連続事件を追う。封印したはずの過去が、事件へと向かわせたのだ。

だが、その最中、隣室に住む風希の友人が行方不明になってしまった。

孤独は煉獄の炎のごとく、人をあぶり続けるものなのか。

天童荒太という名の伝説は、本書から始まる。(本書裏表紙より)


久々に読んだ天童荒田先生の小説。

中学生時代に読んだ「永遠の仔」は、今でも過去すべての読了作品を合わせても10位以内には入る傑作でした。

永遠の仔ほどのインパクトはありませんが、本書も作者のテイストがよく出た良作です。

天童荒太先生は、人間の内面、特に孤独を抱え込んで生きている人間の心の中を痛いほどの表現で的確に描写します。それは時として読み手の心すらもえぐるほどに。

自分自身の内面と孤独に向き合い、それでも屈することなく歩き続ける人たちに、ぜひとも読んでほしい一冊です。

百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて…。

関係者は皆アリバイがあり、事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、戦慄の真相が明らかに!?(本書裏表紙より)


第九回メフィスト賞受賞作。前情報は一切なく、タイトルだけで選びました。

もともと百人一首が好きなので、最後まで興味を持って読めましたが、百人一首に興味のない方には少しきついかもしれません。

メフィスト賞受賞作ということで(?)、京極夏彦氏の百鬼夜行シリーズと構成が似ており、博学の主人公がいろいろと脱線しながらも事件を解決に導いていくというスタイルも同じです。


僕も自分の部屋に百人一首の札を飾りたくなりました。

鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その美しい女店主が帰ってきた。

だが、入院前とは勝手が違うよう。店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。

それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、人の秘密、そして想いがこもっている。青年とともに彼女はそれをある時は鋭く、ある時はやさしく紐解いていき…。(本書裏表紙より)


1月に読破したビブリア古書堂の続編。

内容的には、一作目よりも主人公と女店主栞子さんの関係に重点を置き、栞子さんの内面へより踏み込んだ内容となっています。

前回と同じく、今回も作中で様々な小説が取りああげられるのですが、またしても一冊も読んだことがない本ばかりでした。 中でも「時計仕掛けのオレンジ」は、非常に興味をひかれました。


現在発刊されているのは2冊の見ですが、このシリーズは今後も続きそうですので、新刊が出たらまた手にとってみようと思います。