一人暮らしの女性たちが次々と誘拐され、哀れな末路を迎えていた。
糸口すらつかめぬ警察。朝山風希刑事は、別件を担当中にもかかわらず、この連続事件を追う。封印したはずの過去が、事件へと向かわせたのだ。
だが、その最中、隣室に住む風希の友人が行方不明になってしまった。
孤独は煉獄の炎のごとく、人をあぶり続けるものなのか。
天童荒太という名の伝説は、本書から始まる。(本書裏表紙より)
久々に読んだ天童荒田先生の小説。
中学生時代に読んだ「永遠の仔」は、今でも過去すべての読了作品を合わせても10位以内には入る傑作でした。
永遠の仔ほどのインパクトはありませんが、本書も作者のテイストがよく出た良作です。
天童荒太先生は、人間の内面、特に孤独を抱え込んで生きている人間の心の中を痛いほどの表現で的確に描写します。それは時として読み手の心すらもえぐるほどに。
自分自身の内面と孤独に向き合い、それでも屈することなく歩き続ける人たちに、ぜひとも読んでほしい一冊です。