この作品は、つねに裏表の構造になっていて、形を変えて反復しています。
ラストで、モスの妻のセリフ 「私じゃない、あなたが決めるのよ」 も、
冒頭のこのシーンと 「対」 でセットになっています。
モスが青年からシャツを買うシーン、シガーが少年から買うのもそう。
また、絞りに絞った少ないセリフを深読みすることで・・
そこに別の意味が込められている事に気付きます。
「起こってしまった事は元に戻らない」
「何処から来たか、お前に何の関係がある」 (帰還して以降、一般社会に適応できなかった)
「どんなに異常なことか、、分かっているのか」 (地獄から生還したもの同士が、殺し合う状況)
「この状況を認めたほうが、威厳があるぞ」 (お前も、狂った世界の住人だと認めること)
「正しい道具を選ぶことが大切だ」 (道具、つまり兵士)
「俺はコインと同じ道を辿ってきた」
そして、原題の 「No Country for Old Men」 が、 「Man」 ではなく、、複数形の 「Men」 だと気づくことで
この 「Old Men」 とは、モスであり、賞金稼ぎのカーソンであり、シガーでもある。
三人とも(シガーも)ベトナム帰還兵を指していると、、まずは仮定してみる。
雑貨屋での、コイントスの(シガーの一方的な)寓話も
ベトナム戦争(1958~75年)の生死観であり
だから、舞台が1980年だった。(モスの義母親の墓標)
そうすると、それまで謎だったストーリーの全体像が、オセロをひっくり返したように視界が開ける構造になっている
非常に計算された脚本だと気づいて、腰が抜けた。
つまり、ベトナム帰還後に一般社会に馴染めないOld Men(戦争後遺症患者)に、
もう帰る場所は無いという事だと解釈しました。
原作を読んでないので・・
単なる仮説ですけどね。 (゚ー゚;
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