梅雨入りしたばかりでこれから暑くなるという時期に、こんな話をするのもどうかとは思ったんですが、今年の秋冬に入荷するTHE ARCHIVESシリーズ(Lee Japan)のラインナップがあまりに強力なので少々フライングぎみですが、その内容を一部ご紹介したいと思います。


 まず注目したいのはLee 81-LJ、91-J、WESTERNERシリーズです。


 特に81LJに関しては、これまでREAL VINTAGEシリーズも含めこれまで一度もリリースされたことがなく、ファンの再三のラブコールに応えるかたちで初めて復刻されます。


 それも尋常なレベルではありません。81-LJと91-Jボタンとデニム地は展示会に間に合わず、生地についてはスワッチを拝見させていただきましたが、とんでもない出来です。正直なところ、ここ数年洋服を見て興奮するということは殆どなくなってしまいましたが、81LJのサンプルを見たときは久しぶりに鳥肌が立ちました。たぶん一時間くらいはそればかり見ていたと思います。


 デニム地やボタンは展示会に間に合わなかったと書きましたが、つまり有り生地のデニムやブランケット、部材を使ってカタチだけをなぞるような中途半端な復刻ではなく、すべてをゼロのから作り上げる、パーフェクトを目指している。もっとハッキリ言ってしまえば、プロのディーラーにこれがリプロダクトだと教えたら、椅子から転げ落ちるかもしれないくらい凄いと言ったら分かりやすいか。そのくらいの意気込みで作られています。


 講釈など聞かずとも、モノを見れば分かります。質感を文章で伝えるのは難しいのですが、例えばオリジナルよりもデニム地の色を濃い目にしたり、ザラ感を強調するために表面の凹凸をこれみよがしの誇張してみたりといった小手先のギミックなど微塵もありません。


 例えば、超一流の俳優の演技のレベルが真に迫れば迫るほど、演技という枠を超えそれは役者の単なる自然な振る舞いではないのか?疑いたくなる程のナチュラルさ。安っぽい誇張がないだけに不自然な威圧感も漂わず、ただそこにあるだけでその場と調和した存在感、安定感がある。それと相通じるものを感じました。


 とにかく、81-LJをリジットの状態から着れる喜び。


 それ以前にリジット状態の81-LJのサイズを選べる喜び。


 もし興味のある方は、ネットでも何でも使って一度オリジナルの81-LJの程度の良いものを探してみてください。デッドストックはおろか、ボロボロの大きいサイズばかりしか見つからず、きっとさじを投げたくなるはずです。


 加えて、もともとLeeのカバーオールはサイズ表示より実寸が大きいため、仮にコンディションを度外視してもマイサイズを見つけるのは本当に至難の業です。(もちろん80年代以降の100%リサイクルウールの縦縞ブランケットなど最初から対象外です)


 だからLeeのカバーオール(81-LJ、91-J)を初めて手に入れようとしている人は必ず、普段よりワンサイズ下げる。これ鉄則。例えば、普段38の人は36。40の人は38といった具合に。くどいようですが、これがLeeのカバーオールを着る際の肝のなのです。


 ですから、この貴重な機会の意味を真に理解する方にはぜひ押えておいて欲しい。なぜなら、次にリリースされる保証がないからです。もしかしたら、この一回きりのリリースになるかもしれないからです。


 ちなみにREAL VINTAGEシリーズで、以前91-Jがリリースされたのが約10年前。もちろん今年の冬にリリースされるもとはレベルが全く違います。


 だから、とりあえず私は最低2枚。できれば3枚押さえておくつもりです。


 WESTERNERシリーズに至っては、ジャケット、シャツ、パンツの全てが復刻されます。しかもオフ・ホワイト、モカ・ブラウン、オリーブ・グリーン、ブラックの全色がリリースされます。


 例えば、パンツに使われるGRIPPER社のジッパーはスライダーヘッドだけではなく、レールにもオリジナル同様のコットンテープが採用されます。コットンサテンの生地は、当時のオリジナルと同じ製造過程を踏んで糸の段階から釜茹でして染色される、いわゆる「先染め」です。もちろんそれを力織機を使って織り上げます。厚過ぎず薄過ぎず、適度にコシのある糊の効いたあの質感を知っているものには堪えられないと思います。


 その他、UNION ALLSやチェトパ、WRANGLERの27MW(デニムシャツ)もリリースされますが、書き出すとキリがないのでこれぐらいにしておきます(笑)。