11月12日

07時10分

 

それまで

息をするたび

大きく動いていた掛布団が

フッと

止まった。

 

酸素マスクも

少しズレたような気がする。

 

ベランダから部屋に戻ろうとしていた私は

ガラス越しに

それを見た。

 

大慌てでガラス戸を開け

彼女の体を激しく揺すった。

 

「愛妻さんッ!。愛妻さんッ!」

何度も声をかけ

心臓マッサージを

マウストゥーマウスを

繰り返した。

 

・・・

・・・

・・・

 

反応は無く

どこを触っても

心音は

無かった…。

 

担当医師の「緊急連絡先」に

電話を入れようとするが

震える手で

スマホ操作が手に付かず

手間取った。

 

やっと繋がって

状況を伝えた。

 

間髪を入れず

訪問看護ステーションの

「緊急連絡先」にも電話を入れた。

 

程なく

看護師が自宅に到着。

 

心肺停止が確認され

身体の清拭が始まった。

 

08時43分

看護師より小一時間遅れて到着した医師によって

死亡が確認された。

 

私は

崩れ落ちた。

 

そして

「そんな馬鹿な…」

 

叫んでいた。

取り乱していた。