息子が大学を卒業し、来週から(京都→)東京へ赴任します。東京へ旅立つ二日前、祖父のいる実家へ挨拶に行きました。祖父は弟夫婦およびその息子と同居中。去年米寿(88歳)のお祝いをしたときは、非常に元気でした。
しかしこの一年でめっきり老けました。ボケようは以前にも増しました。
親がボケたときの対策として、たとえば
「息子はいくつ(何歳)になったんや?」
「22歳。もう大学卒業だから」
その後話が弾んで10分も経てば
「息子はいくつ(何歳)になったんや?」
「・・・・・・」
このとき「さっき22歳って言ったでしょう?」とか言わない。
「息子はいくつ(何歳)になったんや?」
「22歳。もう大学卒業だから」
それから話がまた弾みます。
そしてしばらくして
「息子はいくつ(何歳)になったんや?」
「22歳。もう大学卒業だから」
で、永遠とこの繰り返しになります。老父が喜んでいればその話を繰り返せばいい。これで十分親孝行でしょう。
さて、肉体的には膝が悪くて家中でも歩行器を使わないと歩けません。大好きだったカラオケもここ数か月はほとんど行っていないとか。
その父が
「田舎(徳島県川島)へお母さんのお見舞い行ってきてなあ」
お母さんって誰、ハルのお母さん、だったら10年ぐらい前に亡くなったんじゃないの?
「お母さんって誰? 川島のおばあちゃんのこと?」
「そうや。おばあちゃんや」
「・・・・・・」
ちなみに、そのおばあちゃんが亡くなったのは、いまから50年前の話です。80歳で他界しました。もし生きていたら130歳になっています。
「川の向こうの病院に入院してるんや。吉野川の向こうの」
「それ、いつ行ってきたん?」
「先週や」
「一人で行ってきたの? クルマ乗って?」
「そうや。一人でクルマ乗っていってきたで。和歌山まで行ってそこからフェリー乗ったら、すぐや。おばあさんも歳やからなあ。もう100歳超えてるは」
「・・・・・・」
もし存命なら130歳…。
さてこの話を同居している弟夫婦にしたところ
「それぐらいやったら、まだええんやけど…」と前置きし、先日父が一悶着起こした話をしてくれました。
何を思ったか知らないが、老父が「徳島の川島で行き倒れになっている人がいないか調べてほしい」と110番したそうです。その際警察は緊急で徳島の地元警察に連絡、行方不明者の探索をしました。それで大阪の実家まで警察官がやってきて、大ボケの父に事情を聴いたそうです。
警察官は父の様子を見て「これはまちがいなくボケだな」と判断。また弟夫婦は警察官に平謝りし、事件は一件落着しました。なんと人騒がせなボケ老人!
でも、父を詰る気になれませんね。気の毒なのは同居している弟夫婦。もうこの夫婦には一生頭が上がりません。
さて老父の様子を見て、我が子(孫になります)が「パパもあと20年したら、ああなるのかな。で、僕もあと60年ぐらいしたら、ああなるのかな」と寂しく言います。
それは神様にしかわからない。いい薬ができているかもしれないし。あるいはそうなる前に病気や事故で死ぬ可能性だってある。
しかし大学で社会福祉を勉強したきた息子は「でも、ああなったら幸せかもしれないね」と前向きに言います。そうですね。怒ったり泣いたりするよりは楽しい作り話(本人は本当だと思っていますが)をしている方がよほど幸せですね。
そうやって孫に見せる姿も大いなる教訓となっています。そう思えば老父に感謝しないといけません。
おとうちゃん、ありがとう! 息子(孫)が、また一つ成長しましたよ。
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