ハサミと棒は使いよう | ハリーの養生訓

ハリーの養生訓

僕が見つけた養生

指圧には三原則がある。

1.垂直圧
表面に対して垂直にまっすぐ押すこと。無駄な力の分散を防ぎ、皮膚をこすらないので圧痛を出さず自然な圧力となる。その反対は急激で局部的な圧であり、交感神経を刺激し生体に危害を加えやすい。

2.持続圧
一定強度に押圧した圧をゆるめず、そのまま一定時間持続すること。通常2~7秒、最高30秒続けるときもある。これが指圧の最大の特徴とも言える。他の手技と大きく区別されるところであり、これによって圧は深部に浸透し、副交感神経を刺激して、こりがほぐれ内臓機能が活発になる。

3.精神の集中
術者が精神を集中させて行う。それにより不注意による事故を防ぐ。又、患者の意識や状態を集中して感じ取ることで適切な治療を行うことが出来る。

ただ最後の「精神の集中の原則」は、増永静人の解釈では「支え圧の原則」に変えられている。

「支え圧」
垂直の安定持続圧は指先の力や腕力では難しい。立って体重を支えている時と同じようにもたれかかるようにおす。すると相手もこちらにもたれかかるように身を任せてくれる。つまり自分を支えると共に相手も支えるという形で圧を働かせる。

いずれにしても、力まず、垂直の、持続圧をつくることは、なかなか難しい。

特に自己指圧の場合、人に行うよりも力みが出てうまくいかない。

そこで100円ショップで手に入れた「麺棒」を、仰向けになって腹部に突き立ててみた。

余分な力を抜き、手の重さを利用してみると、思いのほかうまく垂直圧と持続圧が実現した。

みぞおちからへそまで3点、へその下から恥骨まで3点。

30秒以上の持続圧も、なかなか深部に浸透して腹の底にこたえる。

注意は絶対こねくり回さないこと。

内臓を痛めかねない。

これはやはり3原則に忠実に行うべきだ。

左右、腹直筋の際から中心に向かうように、やや斜めに圧を入れるのも応用としていいかもしれない。

へそ周りぐるりは、コリが強い場合、圧を入れるとコリが逃げるので、片手を棒の先端に添えて押すとうまくいく。

硬い、柔らかいのジャッジを超えて、ただ感じることに専念できれば、ある種の「知覚瞑想」の境地が拓けてくる。

当分、麺棒が手放せそうにない。