【フィギュア】新採点方法の変更保留の波紋 羽生&紀平の追い風にならず
喜びもつかの間…。国際スケート連盟(ISU)は今季導入するフィギュアスケートの新採点方法の適用を保留にすると発表した。新ルールは五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)、期待の紀平梨花(17)と男女の日本エースに追い風とみられたが、2022年北京五輪にどう影響するか。
ISUは5月11日に20~21年シーズンの4回転ジャンプ(ルッツ、フリップ、ループ)の基礎点を11・00点に統一すると発表。関係者によると、新型コロナウイルスの影響で十分な練習時間を確保できないため選手やコーチらから疑問の声が上がり、方針転換に至ったという。
ルール変更が発表された当時、元国際審判員の杉田秀男氏(85)は「基礎点の差がなくなったことでGOE(出来栄え点)が重要になる。一つひとつのジャンプの質が非常に高い羽生選手、紀平選手にはプラス」と本紙で指摘。実際、羽生は昨年のグランプリ(GP)ファイナルで43・87点差をつけられたライバルのネーサン・チェン(21=米国)に肉薄するチャンスで、4回転を連発するロシア勢に苦戦した紀平にとっても朗報だった。しかし約1か月で“白紙”となってしまった。
日本スケート連盟関係者は「(新規定は)歓迎だったが、あまり惑わされないようにしたい」と冷静に受け止めたものの、やはり気になるのは羽生と紀平が出場濃厚な北京五輪だ。これまで五輪シーズンの直前には大幅なルール変更が行われないのが通例。これに従えば北京五輪も現行ルールのままとなる。
人類初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦中の羽生が集大成とする北京大会での五輪3連覇にも少なからず影響を与えそう。年齢制限(五輪前年の6月30日までに15歳)のため18年平昌五輪に出場できなかった紀平も初となる五輪に並々ならぬ意
欲を示していただけに、できれば新ルールで臨みたかったはずだ。
今回は前代未聞のコロナ禍でISUも苦渋の決断となったが、すでに新基準に合わせたトレーニングに取り組む選手もいただけに、各方面に波紋が広がりそうだ。
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