そして――
「寺の外周に柵を【設けよ】。」
「はっ!」
甚八は力強く答えた。
「有刺鉄線、【逆茂木】も用いよ。」
「はっ!
ただちに!」
甚八は準備のため下がって行った。
「どう思う?
弁慶殿。」
昌幸はたずねた。
「はっ。
お見事なご案かと。」
弁慶の同意を得て、昌幸は自信を増した。
(ふふ、信玄様もこうされたはずだ。)
昌幸一行は鐘楼・三重塔を越え、
轟門・本堂を抜け、音羽(おとわ)の滝
に向かった。
~ 続く ~
※設ける(もうける)→建物・設備・
組織などを作り備える。
※逆茂木(さかもぎ)→敵の
侵入を防ぐため、いばらなどの
とげのある木の枝を並べて垣(かき)
にしたもの。鹿砦(ろくさい)。
