昨日の午前中 とても珍しい患者が来院しました 

2006年(平成18年)の9月に ”親知らず” を4本抜いただけで

それ以来 全く来院のなかった 〇西〇代〇さん(1971年12月18日生)がみえました

13年前に2度しかみえていない患者の記憶は全くありませんでした

世田谷区からお出でになった 〇西さんの とても困った様子は

診療室で挨拶を交わした時に見せた ”眉間の皴” が物語っていました

カルテの上には 患者持参のメモがあり 

読んでみると 1年以上にわたる苦しみが行間からにじみ出てくるものでした

☟自筆メモ(肉筆の部分も〇西さん本人の記述、「平成31年」とあるのは「平成30年」の間違いです)

 

「ふ~ん なるほどねぇ…(メモを読むと)何かピントがズレている感じですねぇ…」

「そうですかぁ…」

「ええ 『現在の症状』からすると A歯科医院の言うように歯根膜炎だと思います

しかし 歯根膜炎と診断しながらも咬合調整しただけなんですねぇ…それじゃあ痛みが取れないのは当然でしょうねぇ…

これ自費(保険外)治療ですか?」

「はい 2本で9万円取られました」

「そうですかぁ……ちょっとA歯科医院に電話してみましょう」

「……」

保険治療(『保険治療』の一部負担金は何があっても返金義務はありません)

でしたらいざ知らず 自費でやったとなると返金してもらわないと納得できませんからね」

「いや 先生 いいですよ」

「え? どうしてですか?」

「あまりトラブル起こしたくないので…」

「え? 9万円くらいはハシタガネ?『Aの治療後に痛みが出たけどカネだけはクレてやる』とおっしゃるの?

これってあなたの責任? それともA歯科医の責任?」

「おっしゃることはわかります」

「でしょ? まぁ 任せなさい 喧嘩を吹っかけるつもりはありませんから…」

 

と云って A歯科医院に電話を掛けました

 

「台東区の三ノ輪歯科と申します 院長先生お手すきでらっしゃいますか?」

「どんなご用件でしょうか?」

「そちらで治療された患者さんのことで…院長先生にお伺いしたいことがありまして…」

 

「はい 電話かわりました」

「あっ どうも 初めてご連絡させて頂きます 台東区の三ノ輪歯科と申します

そちらで治療された〇西〇代〇さんのことでご連絡致しました」

「あっ ちょっとお待ちください …… あっ はいはい わかりました」

「ただいま私どもにお出でになってるんですが…先生のところで自費で治療されてますよね?」

「はい そうですね」

「先生も診断された通り 歯根膜炎だと私も思いますので 補綴(被せ物)を壊してエンド(根管治療)をやりたいのですが

治療費返還して頂く ということで宜しいでしょうか?」

「えっ そういう話になるんですか?」

「ええ そうじゃないかと思いますよ」

「いや ちょっと待って下さい あれはブラキシズムが原因ではないか…と思うんですよ 冷水痛もあり熱いものも染みるということですから…」

「ええ まだ完全に失活してはいないのかも知れませんねぇ でもね 歯根膜炎である以上 このまま静観していて症状は収まるんですか? 早急にエンドを始めないとダメでしょう?」

「いや だからといって 返金しなきゃあいけないんですか?」

「先生! それはフェアじゃないですよ 負けは負けと認めなきゃあいけませんよ」

「……」

「じゃあ 先生のところに患者さんお返ししましょうか 責任をもって解決してくれますか?」

「……」

「悔しい気持ちは分かりますけど 患者はもっと悔しいですよね 治療した歯が痛いんですから…」

「わかりました そうします 今後はそちらでやってくれるんですね? ぼくが責任を取らなきゃいけないような…」

「はい! 勿論です 全ての責任を私が負います」

「わかりました」

「それでは後日患者本人から電話してもらいますので ご返金宜しくお願い致します 失礼しました」

 

電話を切ってから 傍で会話を聞いていた〇西さんに向かって

「お聞きになった通りです 後でA歯科医院に電話して口座番号を伝えて『〇日までに返金して下さい』と伝えて下さい」

そして 補綴を取ってエンドを開始しました