(2019/4/30)
関連記事; ★★常設展 ティッセン・ボルネミッサ美術館(マドリード)その1 マッタほか
 

 Museo Nacional Thyssen-Bornemiszaの常設展 つづき。0階の後半。

 イギリスの現代絵画が充実している。

 ルシアン・フロイドは好きな画家。あのフロイトの孫でもある。
 "Reflection with Two Children (Self-Portrait)"。フロイドと言えばリアリズムだが、これは珍しく変な絵。1965年の初期作品。
 写実的ではあるが、ありえない構図。足元の床にミラーを置き、そこに写る自身を描いた。背後の幾何学的な円形のものは、天井のランプ。そしておかしいのが、記念写真的に描かれた前景の二人の子供。フロイドが自身の子供を描いたものだが、小さすぎるしどこに立っているのか不明。ということで奇妙な絵となっている。

 


 "Large Interior. Paddington"(1968-69)。フロイドはベーコンと描き方は違うが、ベーコンと同様に人間の存在の孤独を描いたと言われる。伝統的な描き方だが、なぜこうなのだろうという不安定な構図。これも自分の娘を描いているが、半裸で体をねじった不自然なポーズ。フロイドらしい、理想化せずに(時に見苦しいくらいに)描いたリアリズム絵画。


 

 


 このコレクションの主であるティッセン・ボルネミッサ男爵を描いたフロイドの絵。

 

 以前、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)でもまとまった数のフロイドを見た。

 

関連記事; メトロポリタン美術館 その2 フロイド、ベーコン

        


 フランシス・ベーコン。ジョージ・ダイアの肖像(1968)。暴力的に歪んだ顔。鏡に写る顔は二つに割れているものの結構写実的。精子のようにも見える白い絵の具の飛び散り。ダイアは1971年に自殺するまでベーコンの恋人だった。



 (これは前日にソフィア王妃芸術センターで見たベーコンの絵)"Lying Figure"(1966)


 R.B.キタイ"A Visit to London"(1977)。ロンドンのキタイのもとを訪れた二人のアメリカの友人(詩人)を描く。うまいわけでもないが、なんだか変な絵で気になった。



 R.B.キタイ"Smyrna Greek(Nikos)"(1976-77)。写実的に描かれた男とへたくそな女、小さく描かれたのは自画像。友人である詩人を売春宿というシチュエーションで描く。



 (これはソフィア王妃芸術センターで見たR.B.キタイの絵)。"Where the Railroad Leaves the Sea"(1964)。



 デイヴィッド・ホックニー"In Memoriam of Cecchino Bracci"(1962)。ホックニーらしくない荒々しい描き方。タイトルにあるCecchino Bracciは16世紀に美少年とたたえられながら若くして亡くなった少年。棺の中の男を描いているようだがキャンバスも棺の形になっている。



---

 Domenico Gnoliという画家の"Armchair No.2"(1967)。アームチェアを描くが、ほとんどそれで画面が埋まり、座っている人物の後ろ頭がわずかに見えるのみ。そのため抽象画みたいになっている。不安定で変な構図。



 ジョセフ・コーネルの箱作品2つ。
 "Blue Soap Bubble"(1949-50)。


 "Juan Gris Cockatoo No.4"(1953-54)。コーネルはキュビスムの画家ホアン・グリスにあこがれていた。新聞の文字が貼ってあるのがキュビスム風。


 ジャコメッティの細長い群像。


 ロイ・リキテンスタイン。