「世界侵略」といっても物騒なものじゃなく、簡単に言えば
マイケル・ムーアの異文化交流
ってとこです。
要は他国の良い所を「戦利品」としてアメリカに持って帰ろうという企画。
学校の給食が豪華なフランス、子供の学力で世界一の座を獲得したフィンランド、ハネムーンでも有休が認められ、合計約1ヶ月分の有休が認められるイタリア、ナチス時代の罪を街灯に飾るドイツetc…
各々の国で、その人々の価値観に触れ、その国の良さを学び、手に入れていく。
オチも中々面白かった。各国で学んでいったその国の良さは、実はアメリカから学んでたというエピソードが多かったというオチ。アメリカは「ない」のではなく、「なくしていた」のだったと、これまでアメリカへの批判をぶつけてきたマイケル・ムーアらしからぬアメリカへの賞賛。
といっても手放しに「アメリカ万歳」と言ってるのではなく、「かつての良い所を取り戻せアメリカ」と檄を飛ばしているような感じかな。
俺個人として、やはり日本はイタリアにビジネススタイルを学んでほしいと思ったよ(笑)
有休なんて取ろうものなら周囲から白い目で見られたりと、悪い意味でも連帯感がすごいからね。
あとはフィンランド。「奥さん運びレース」など奇抜なアイデアが飛んだ国だが、子どもの学力で世界一を獲得した。
かつてはアメリカと「どんぐりの背比べ」状態だったが、「宿題をなくす」「統一テストをやらない」というアイデアで一気に学力を伸ばしたという。まあそれだけじゃなく、学校の遊具にも子供たちの意見を通すようにして、建築士に直接子供たちの声を届けるようにしているんだとか。
ただ、私立学校というのがないので、どの学校も同じレベル(良く言えば教育をビジネスにしていない)。でもどの学校も「子どもたちの自主性」を重んじており、いわゆる「テストでいい点取るための勉強」をしていない。人間性の豊かさに重きを置いて、現在に至る。
日本からすれば、本当に感銘を受ける話。塾だの私立校進学校だの予備校だの、教育で儲けてるような感じに見受けられるからな今の日本は。親も親で、人間性の豊かさよりも「テストでいかに良い点取れるか」に重きを置いてるように思える。フィンランドと逆を行ってる。
フィンランドの教師たちは相手が子どもでも子ども扱いせず、しっかり一人の大人として見ているようだ。だからこそ子どもも「しっかりしなきゃ」と自発的に思えるようになって、自ら学ぶ姿勢を作れるんかなーなどと思ったりして。
そんでアメリカはドイツに学ぶべき。ドイツは街々に、ナチス時代に殺していったユダヤ人の名前やナチスの罪状をタイルやら街灯やら、あらゆる場所に飾っていた。アメリカだったら…
インディアン殺してできあがった国であること、金目的でインディアンから居場所を奪っていった罪、人種差別、そして東京大空襲、原爆投下と
戦えない民間人を虐殺した罪
それからその罪を東京裁判という「勝者が敗者を裁く」リンチを行なってもみ消した罪…
これらを街々に飾るんだろうな。
自分たちの言うような「正義の国」を目指すなら、自分たちの罪を見つめ、より正しき道を行くという在り方も必要になってくる。
…何だか自分の思想が半分を占めてしまってるように感じるな(笑)
けど、それだけ色々考えさせられる内容になってるんですよ、ええ!
公開してる劇場数が少ないのはもったいないけど、見ごたえある作品ですよ。