今より遥か未来…
人類は「生まれる」のではなく「作られる」存在となっていた。
体外授精技術は発達し、精子と卵子が一個ずつでもあれば、どんな人間であろうと子を授かれるようになった時代。
これは、そんな未来で生まれたとある少年の話。
脳に原因不明の異常が発見され、ゴミを捨てるかのように容易く親に捨てられた。その異常とは「感情が欠けている」こと。感情を意味として「理解」はできても、「思う」に至らない。喜怒哀楽全てに当てはまった。親からすれば「また作り直せば良い」という感覚でしかなかったのだ。
命とは何か?
容易く命が生まれる世界における命の価値とは?
【設定】
先に挙げた通り、精子と卵子1個ずつでもあればどんな人間でも子を授かれる時代。
人工子宮『SEED』によって体外受精が確実なものとなり、オーダーメイドが可能となる子供「デザインベビー」の創造が現実になった。
人間のモラルは低下し、少しでも出来が悪ければ子供はすぐに捨てられる。捨てられた子供達は児童福祉施設とは名ばかりの実質「強制労働施設」に入れられ、地下シェルターまたはスペースコロニー作りの奴隷として利用されるのだ。
何故そのような事が起こったのか。それは、あまりに命が生まれすぎたため、瞬く間に国が人の重みに耐えかねたのだ。
つづく