文化放送 斉藤一美ニュースワイド 17時半頃から

 

【アーサー・ビナード午後の3枚おろし】4月12日

 

・・・・今週まな板に乗るのは政治家たちの言葉・・・・

 

【岸信介総理の”声なき声を聞け”】

 

〜〜〜岸信介総理:1896年山口県生まれ。

   東京帝国大学卒業後、農商務省・商工省の官僚として要職を務め

   満州国で辣腕をふるう。東条内閣で国務大臣を務めたため

   極東国際軍事裁判(東京裁判)ではA級戦犯の被疑者として

   3年半勾留されるも不起訴のまま釈放される。

   戦後政界に復帰し自由民主党幹事長、外務大臣に就任。

   1958年石橋総理の病気により後任に指名され総理大臣に。

   1960年日米安全保障条約の改定を進め

   国会周辺では激しい反対運動が繰り広げられた。

   6月18日安保条約は自然成立。混乱の責任を取って岸は辞任。

   7月15日総辞職。念のために付け加えておくと安倍総理の祖父である。

   

〜〜〜有名な「声なき声を聞け」という言葉が入った発言をどうぞ。

 

 「安保を通したら辞めるとか そんな無責任なことは言えるもんじゃない。

  私はむしろ声なき声に耳を傾けなきゃならない。

  今はね声ある声だけでしょ、いわゆる世論と言われておるもの。」

 

「声なき声に耳を傾けなきゃならん」ってすごいうまいかわし方だなと思う。

外では多くの市民が立ち上がって 

何とか安保を通さないように食い止めようとしていて

それに対して余裕を感じさせる言い方だし

詩的に静かな声で言うって演出はみごと。

 

ただし声なき声とは何かはてなマーク誰なのかはてなマークって考えると

「黙ってる奴」ってことでしょ。

 

〜〜〜岸信介総理は1981年に出版した

   「岸信介回想録」に同じような趣旨の事を書いている。

 

 「少し極端な言い方だけど私に言わせれば

  一部のものが国会のまわりだけを取り巻いてデモっているだけで、

  国民の大部分は安保改定に関心を持っていない。

  その証拠に国会から2キロと離れていない銀座通りでは、

  若い男女が歩いているし、後楽園では何万の人が野球を見ている。」

 

安保に反対している人たちは一部で 

後の人たちはアンポンタンだって言っているんですよ。

 

後の人たちは政治に関心がない

銀座を呑気に歩いてるアンポンタンたちで

野球を見てビールを飲んでいるオタンコナスたちなんだよね。

 

「下々の人たちは安保が何なのか知らないし考えてない。

 彼らの代弁者たらんと僕は政治をやっているんだ」と言っている。

つまり愚民なんですよね。

愚民政策をこういう風に美しくパッケージに包んでいる。

 

アメリカのジェファーソンは

民主体制の国はどういうものかを具体的に言っている。

「黙っている奴、思考停止の奴、関心のない奴はダメなんだ。

 そういう連中が民主主義国家の中では市民として機能しない。」と。

 

困ったもんなんです。

だから教育しなきゃいけないし みんなが関わるのが民主主義。

 

だから岸信介さんは 民主主義じゃない政治を 民主主義の器の中で

民主主義のかたちを作っている憲法に乗っかってやっていたという矛盾。

 

1901年生まれの小熊秀雄という日本の詩人も

岸さんが満州の官僚だった頃に こういう詩を書いている。

 

 

 「しやべり捲くれ」小熊秀雄

 

  私は君に抗議しようというのではない

  私の詩がおしやべりだといふことについてだ

  私はいま幸福なのだ舌が廻るといふことが! 

  沈黙が卑屈の一種だといふことを 

  私はよく知っているし

  沈黙が何の意見を表明したことにもならない事も知つているから

  私はしやべる

  若い詩人よ 君もしやべり捲くれ

 

 

プロレタリア詩人と言われる小熊の言葉ですが

そうじゃなくて彼は民主主義詩人。

 

岸さんは「デモってるだけ」と言うが

デモをするからデモクラシー。

デモをしないデモクラシーはただの暮らしー。

 

デモクラシーはデモを必要とするし 声を上げることが大前提。

それが民主主義でだから議会がある。

 

僕らの代弁者が集まって議論するのが議会で

岸さんが言う「声なき声」の人たちのための政治なら

ルイ15世や16世の政治で充分。

 

岸さんは回想録で 女王様や王様がやるような政治を描いているが

まさにそこが民主主義と相容れないところ。

「声なき声」の人たちに耳を澄ますのは民主主義の国ではない。

 

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文字起ししてて こんなに腹が立ったことないっす

愚民は支配しとけってことですよ

 

世襲政治家ばかりなのも

政治に無関心な愚民のおかげドクロ

 

 

 

 

 

小澤俊夫氏談

「親父は日本から満州に来た官僚の中で一番悪いのは岸信介だ」と言っていました。「地上げをし現地人は苦しめ賄賂を取って私財を増やした」と。

自民党総裁になったときに「こんなヤツを総裁にするなんて日本の未来はない」とハッキリ言った。

 

小澤氏:指揮者・小澤征爾の兄でミュージシャン小沢健二の父。

    ドイツ文学者で筑波大学名誉教授。