1940年後半に生まれた「Tシャツ」という衣服。そもそも下着要素で生まれた衣服ですが、1世紀も経たぬうちにファッション衣料品となりました。単純な創りかつ個性を表現するキャンバスのような存在が老若男女問わず広く受け入れられています。広く拡散する最も有名な衣料に「理想と想い」を詰め込み製造するとどうなるのか、それを実行したTシャツを御紹介します。
既にデラックスウエアの顔とも言えるTシャツ「DLTシリーズ」。最強強度を謳い、十数年続くこの製品には実は様々なドラマが存在します。
当初から我々が目指したTシャツは「強度」あるTシャツでした。引っ張ろうが捻ろうがビクともしない強さが安心感とヴィンテージの哲学でもある「経年を可能にする」という考えでした。
しかし条件は二つ。
一つは「およそ100年前の旧式吊編機」を使用する素材であること、そしてもう一つは首の強度保持のため堅牢かつ幅広ピッチ(ミシンの運針)をもたらすヴィンテージミシンの使用でした。
まずは一つ目。
国内、和歌山県の4社のみ所有する旧式吊編機。1日1台あたり数メーター(Tシャツにして20着分程度)しか生産が出来ない大変非効率な旧式編機。本来は手編みのように空気を含ませ「フワフワ」に編上げる編み機ですが、これを我々は最高密度まで編糸を詰め込み、尚且つ固く強い糸を用いて製造する企画を工場へ相談し嫌がる工場を説得しやっと製造に漕ぎつけました。すると生産数がTシャツ20着分から更に低下し8着分程まで非効率に輪をかける結果になりました・・・が、必要な品質のため毎年時間を掛けて生産しています。
そして二つ目のヴィンテージミシンの使用。
アメリカ ヴィンテージミシン「UNION SPECIAL512」1940年代製。
複数の同機種を1台にまとめ、オーバーホール兼カスタマイズドを加えデラックスウエア品質対応にしたもの。
このミシンでは、主に首周りを縫製します。
業界用語では「バインダーネック」と呼び、二本針、三本針、上下振り糸有り無しと仕様も様々ですが、デラックスウエアでは三本針上振り無し下振り有りの仕様となります。実は縫製技術が必要なミシンでもありますが、その辺は後の動画で御確認下さい。
首周りの強度はこのミシンと職人技術、そして素材強度が生み出しています。リブ目が表裏共に放射線状に綺麗に広がることで「技術の高さ」を表します。
ワタクシ企画者として最も難しい衣料がTシャツだと感じます。
他の衣料に比べて型紙数がボディと袖の2パターンしかなく、出来ることに限りがあるのです。その重要なポイントは片の傾斜、アームホール、首周りの3か所。
少ないパターン数、限られたポイントに曲線とダーツ処理を駆使することで立体形状を生み出しました。それは、人の体形に合わせた曲線ですから素材や縫製にチカラが掛かることを軽減します。ここにもTシャツが長持ちする由縁があります。
そして最後にあまり知られていませんが、縫製のほつれを防ぐ「環止め」です。首周りの縫い終わり、袖先や裾の縫い終わりに解れて来ないように丁寧にミシンを入れます。この作業が雑になると目に見えて「荒さ」が発生してしまいます。
大量生産を行う企業や工場にとっては単価の低い「たかがTシャツ」と思われるかもしれませんが、我々デラックスウエアの想いは「肌が直接触れるTシャツだからこそ」です。
だからこそ、素材を含めた全行程を日本国内・日本人で行う「純国産品質」で製造し、モデルにより「硬い、柔らかい」とありますが、強度に対する想いは変わらず製造を続けています。何れにしろ、先ずはデラックスウエアを知って頂くうえで「待つべき1着」として自信を持って御提案差し上げます。
是非お試し下さいませ。
デラックスウエア 村松
↓興味のある方は首周り製造動画も御座います。ワタクシ、グイグイ引っ張っていますが気にされずご覧下さいね。