ちなみに野原は作家を志している。
ただ、まだペンネームが決まっていない。
そこで男性の友人にラインで、
『ペンネーム、何がいいと思う?』
と聞いてみたら、
『雲黒斎(うんこくさい)にしたら?クレヨンしんちゃんみたいでいいじゃない』
というふざけた返信が返ってきた。
あまりにも馬鹿馬鹿しいので、既読スルーしようかと思ったが、
絶対に既読スルーしない男性なので失礼に思い、こう返信した。
ちなみに自分ではかなりナイスアイデアだと自惚れていた。
どんな返信が来るかワクワクしていた。
『ありがと!じゃあ、わたし【満黒斎】にする!!
そして、あなたは【珍黒斎】ね!!』
その瞬間、『既読』のサインがつき、何時間も返信はなかった。
耐え兼ねて、
『なんか返信して!』
と送ると、
『いや…あまりにもゲスくて…』
と、ドン引きしていた。
ちなみに彼が既読スルーをするのは初めてだった。
よっぽど引いていたのだろう。
どんな顔をしてスルーしていたのか、想像するだけで笑いが込み上げてくる。
『勝利したぜ…!』
少し、誇らしい野原であった。