管理しない管理職

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日経ビジネスで「働きがいのある会社」ランキングの発表とともに、サイバーエージェントの人事の取り組みをとりあげていただきました。

 

「密着、働き方革命」という特集における「管理しない管理職」という話題です。

 

 

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日経ビジネス

http://www.nikkeibpm.co.jp/item/nb/661/index.html

 

 

この逆説的ともいえる概念は、ここしばらくずっと頭の中で何か良い方法はないかと考えているテーマです。

 

これまでたくさんの社員と面談をしていますが、管理職候補となるメンバー、特に女性の口から時折でてくる言葉が、「人を評価したくない」という言葉です。

 

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良いサービスをつくりたいですし、社会にインパクトを与えたいんです。

 

そのためにチームで一丸となってがんばることも、とてもやりがいがあります。

 

でも、、、

 

人を評価したくないんです。

 

===

 

という会話です。

 

こういう対話をしているとき、私はそのメンバーの心にいろんな思いや悩みがまざっているのを感じます。いいものはつくりたい。でも人を評価するというのは、自分にとってはとても負担が大きいという感覚です。

 

また、人事でもことあるごとにこのテーマで議論しています。こういう悩みに応えたい気持ちと、期待に応えるにしてもどのように運用していくかの葛藤を持ちながら、ひとつひとつ前に進めています。

 

大前提としては、目の前の仕事に全力で取り組んでくれていることも大切です。目の前の仕事に全力でやってくれていること、つまり業績拡大に向けて努力を続けてくれているからこそこういう相談ものりやすくなります。

 

こういう試行錯誤を繰り返しながら、すこしづつ事例が増えてきているのが管理しない管理職、「事業開発専門の管理職」という概念です。「人の評価をしない管理職」と言ってもいいかもしれません。これは女性だけではなく、男性でももちろん適用できる考え方です。

 

ある時、事業部門ですごく活躍している女性リーダーの話を人事メンバーから聞きました。人数も数十人規模でいる部署です。さぞかし大変だろうと思って私はその人事メンバーにひとつ質問をしたのです。「そんなに大人数、どうやってマネジメントしてるの?」

 

この質問に対して人事メンバーの回答は、

 

「いわゆる人のマネジメントをしてないんですよ。ナンバー2として○○さんが評価とか面談とか人事面をサポートしているんです」

 

というものでした。その話を聞いて、これはヒントになると感じました。組織全体で考えれば、きちんとメンバーひとりひとりへのフォローは必要である。ただし必ずしもナンバー1であるトップの人材だけがそれをやらなければいけない、と決めつける必要はないと理解できたのです。

 

たしかに、会社経営において「社長」という肩書があったからといって、何でも全部100%やるわけではありません。事業開発が得意な社長もいれば人事が得意な社長もいる。両方できる社長もいるし、極端に何かが苦手な社長もいる。むしろ社長やリーダーひとりでなんでも全部やろうとする組織は、メンバーを信頼していない組織ともいうことができ、結果的に大きな成果を生み出すことは難しくなります。

 

「社長」という観点で見ても、企業価値が上がり続けていればそれでよい。自分の強みを活かして成果を上げることが一番であり、苦手なものがあればできる人にお願いしてともに成果を出すほうがより大きな成果が出せるものです。

 

経営や事業開発はチームで行うものであり、その手段として組織開発や評価、育成、活性化などがあります。明らかに事業開発が得意な人もいれば、組織開発や人事において素晴らしい才能を発揮してくれている人もいる。それぞれの分野に強みを発揮できるような職種があれば、より多くの人の才能を活かすことができます。逆に極端に苦手なことを要求することで、その人の力が発揮できなくなったらそれは個人にも組織にも損失です。

 

私は社員ひとりひとりが才能を開花できる環境をつくることが、21世紀を代表する会社への道筋だと信じています。

 

そのためにはたくさんの社員の声を聞いて、一人一人が成果を出せるような風土、制度、しかけをつくっていく。例外的なケースもまずは個別にテストケースとして実施し、それがうまくいくようなら全社展開する。妊活休暇・育児支援のマカロンパッケージなども、社員が個別に相談してくれた話をテストケースとして運用していたからこそ、いざというときに制度化するしていきました。

 

今回の取り組みもまだまだ試行錯誤の取り組みですが、より多くの社員の才能が活かせるような環境づくりをすすめていきます。