治療法について夫と話していたら
そばにいた息子が
「10年20年後、がんになったことにきっと感謝するよ」とにやり。

ははは
最近一緒にみた白熱教室
キム・ナンド教授
(ソウル大学生活科学学部消費者学科教授)の言葉を
引用できたことがうれしかったのでしょう。


それは、教授が、チェロ奏者を目指していたが女性が
交通事故で演奏者の道を絶たれ挫折しているという発言に対し、
挫折を幸運に変える向き合い方を説いている時の言葉でした。


教授は講義の中で、
人生には時計より羅針盤が大切。
人と比べて自分は遅れているではなく、
大切なのは、
私は正しい方向に向かっているのか?
確かめること。
そして、羅針盤より鏡を持とう。
自分自身を見つめよ。あなた自身になれ。
と話していました。


私が母親になった時、
それは喜びでしたが、
一方で、乳幼児期は
育児・家事にかなり時間とエネルギーをささげることになり、
母以前の時よりも制約ができたように感じました。


障害のある子どもがうまれ、
時間とエネルギーはさらにかかり、
親としての支えが必要だと感じる期間は
通常の発達をする子よりも長くなりました。
迷った末に、
娘の小学校入学前後をできる限り支えたくて
大好きだった仕事も辞めました。
私はすでにかなりの制約
あるいは重荷を持っていると感じてきました。


そして、病気発覚。
腫瘍を切ってしまえば終わると思ってたのに、
転移がわかって、簡単には終われなくなりました。
さらに、その性質から、服薬が必要。
期間は10年間と宣言されたことで
制約や重荷を持つ人生が続くことが苦しくなりました。
そして、そういう重荷を持っていないように見える人たちが
とてもうらやましくなっていたようです。
こういう羨み感情はエネルギーを失いますね。


「比べない」
娘の障害を感じた時に
内なる声なのかなんなのか不思議な声が
聞こえてきたことがありました。
そのうちのひとつは「比べない」です。
NICU(新生児特定集中治療室)に入っていた時、
同じ時期に入院した隣の赤ちゃんが翌日退院と知りました。
娘の退院時期はその時はわからず、
私はうらやましくてうらやましてたまらなくなりました。


その時、奥にいる母子が目に入りました。
4ヶ月以上入院している人でした。
「あの人に比べたらましだわ。」
と心の平穏を保とうと思った途端、
「比べない!!!」という声が聞こえました。
鈍器に殴られたかのような感じがしました。


その瞬間、娘を育てる上で、
「比べない」という姿勢が
とても重要なことだと悟りました。
誰とも比べない。
その子をそのまんまみること
私自身も自分自身を人と比較して、かわいそがらないし、
誰か自分よりも不幸そうな人を探して妙な優越感を持たない
それがとてもとても大切と。


病気も同じ。
例えば、同じ乳がんでも、
がんの性格や、その状態によって必要な治療がかなり異なります。
軽く済む人もいるし、そうじゃない人もいる。
また、ガンや病気とは無縁で
健康いっぱいで24時間を制約なく
自分が望むことのためにまるまる使えているようにみえる人もいるし、
たくさんのハードルがあるようにみえる人もいる。
他者の生き方からヒントを得られても、
比べることには何の意味もないのです。


わたしはわたしの人生を生きる。
私のペースで。
大切なのは、羅針盤を持つこと、とナンド教授も言っていました。
私は望む方向に確かに向かっているのか?確かめるために。
そして、羅針盤よりも鏡を持てと。


そうだなぁって思います。
望む方向が、
自分にとって正しい方向なのかを確かめるために
自分自身を時々確かめる。
何に喜びを感じるのか。
何に充足感を感じるのか。
何が好きなのか。
何に心を躍らせるのか。
何を大切にしたいのか。
何に無邪気に夢中になるのか
そういう中に自分自身があると
私は感じてます。


今日も雲ひとつない秋晴れ!
PCスペース前の窓からも気持ちがいい青空が見えます。
みなさんも心地いい一日を(^▽^)/