アバがラストアルバム「Voyage」を発表したら完全に活動終了する、と言う話は洋楽がマイナーになってしまった日本でも話題になっている。そのアバの代表曲「Dancing Queen」がゲイコミュニティを動かしたエピソードをNHKでやっていた。当時はまだメッセージソングが力を持っていた時代なので、非政治性を貫いたアバの評価は低かったと言う。
 しかし、70年代のディスコミュージックの台頭は、ジャズやR&B、ロックンロールで黒人音楽が認められてきた歴史の先に、EW&FやMichael Jacksonのようなスターを生み出し、マイノリティの社会進出に貢献したし(皮肉にもそのマイケル自身は白人になりたがっていろいろ整形していたが。本当に黒人が音楽で社会的メッセージを発するのはヒップホップ登場を待つことになる)、何よりディスコは同性愛者と言う性的マイノリティにも力を与えたことが大きい(まあアバよりもビレッジピープルやグロリアゲイナーの方がもっと分かりやすくゲイコミュニティにコミットしたアーティストだったが)。ダンシングクィーンはそんなディスコミュージックの頂点に登り詰めた楽曲。
 純粋に良い音楽をやりたかったアバが、そうしたゲイコミュニティを力づけたと言うエピソードは、音楽には多少なりとも世界を変える希望があったなあ、と思う。
 一般論として、今日の音楽シーンはネットの発達でリスナー対象を老若男女幅広く、と言うのは難しい。それでもふーりんのパブリカのような復興活動や様々な社会運動と歩みを共にした流行歌は可能な訳で、もっと音楽の社会的影響力の可能性を信じて良いのではないか。