木々も色づき、いよいよ春から初夏へと季節が移ろおうとしていますね。
桜の色も鮮やかな春もいいですが、緑の深くなるこの季節は心穏やかになります。
桜と言えば散ってこそと言うこの儚さが日本人の心をくすぐるのでしょう。
そして散華と言えばやはりみんな大好き明治維新なんじゃないでしょうか。

と言う至極強引な入りで書き出してみる今回の本は「明治維新という過ち」です。今年5冊目。

私たちが学ぶ幕末から明治にかけての近代史は官軍側に都合よく描かれた歴史観に過ぎないと言う著者の意見から始まるこの一冊。
確かに歴史と言うものは勝者が己達を美化して描くものなのは世の常なれど、日本近代史で更に特徴的なのは司馬遼太郎氏の著作に端を発する「司馬史観」の存在。
明治維新至上主義とも言える氏が描いた幕末の風景は、創作であるにも拘らずまるで史実のように捉えられているのです。
それが結果としてより一層近代史をややこしくしているのが実情なのですね。。
それを著者なりの調査と研究で違った角度から歴史を見ていく一冊です。

幕末の英雄と言われる薩長の面々の美しいばかりでない側面を書き出したり、一方で佐幕側の戦士達が美しく描かれていたり、明治維新と言う歴史観に疑問が湧いて来さえする作品でした。
人格者として名高い西郷隆盛が赤報隊を用いてテロを仕掛けさせた事を暴いたり、一方で二本松藩会津藩の悲劇を事細かに描いたり、著者の反薩長ぶりが一切隠す事なく描かれています。中々偏っていたなあ…。

歴史の一つの側面としてとても面白く読めました。
しかし長州の方は気を悪くされそうだったなあ 汗
そして維新志士に夢とロマンを抱いてる人は読まない事をお勧めします。
割と中立な史観を持っていると自負している私も長州人が嫌いになりそうでした。
一方会津と二本松武士の誇り高い姿、そして義に殉ずる奥羽越列藩同盟には感動したなあ…。
仙台に生き、福島の血が流れてる事に誇りが持てました。
うちは由緒正しき百姓ですが 笑