父と家族の末期がん闘病記 -21ページ目

父と家族の末期がん闘病記

2012年6月末、当時65歳だった父が突然、末期の食道小細胞がんとの診断を受けました。
現実と向かい合うため、父との日々を忘れないための記録ブログです。


私と夫が結婚前、同棲しているときに、夫が参加した学会の勉強会で製薬会社さんから貰ってきたバッグ。
( このバッグの中に新薬等の説明資料等が入っており、いわゆる販促グッズです。 )


父と家族の末期がん闘病記


右下には、"サノフィ・アバンティス社"のロゴ入り。

スウェット素材で出来ていて、丈夫で使い勝手が良く、

「 製薬会社の販促グッズってお金掛けてるなー、よほど儲かってるんだなダッシュ

などと軽く考えながら使っていて、レジャーシートやホッカイロ、写真用ミニ三脚なんかを入れて車の中に置きっぱなしだったんだけど・・・


週末、久々に中を開けてみてびっくり。


父と家族の末期がん闘病記


おお、父の寿命を延ばしてくれているタキソテール様ではなかろーかビックリマーク

かばんの内側には大きくタキソテール様のロゴが入っていましたビックリマーク


神さま、仏さま、タキソテールさま。

タキソテール様との妙縁を感じずにはいられません。



昨日から父の副作用がMAX状態になり相当辛い状態が辛いそうですが、この辛さを無事乗り越え、タキソテール様が父の体の中で癌細胞をやっつけてくれますように・・・



( 本日更新2回目です )

主治医は、父の癌が小さくなったのはファーストライン(シスプラチン+CTP-11)が効いているのか、もしくはセカンドライン(タキソテール)なのか分からないと言う。


これは私の勝手な想像だけれども・・・
タキソテールに抗がん剤をチェンジすると決まった際、我が夫が

『 一般的にファーストラインの方がセカンドラインよりも効きが良いとされ、ファーストラインが効かなかった場合、セカンドラインはより効きにくいとされているから、タキソテールに期待しない方がいいよ。 』

と言っていた通り、きっと主治医もセカンドラインのタキソテールが効くわけがないと頭から考えていたのかも。

そもそもタキソテールは"非"小細胞"肺"癌に効くとされてるけど、父は小細胞食道癌。
タキソテールは「 効くとされるから 」投与されたのではなく、「 全身状態が比較的悪くても投与できるから 」気休め的に投与されたと考えるのが妥当だと思います。


でも、患者本人とその家族からすると、ファーストラインは全く効かなかった。

そして、セカンドラインが効いている。

そうとしか思えない・・・。


だから次回投与する薬もタキソテールに決まって、ちょっとホッとしました。
体調が悪くとも薬が効いてくれて、父の寿命が確実に延びてくれるのなら、それは辛い抗がん剤治療を受ける父の励みになる。
家族にとっても、父が不調なのは癌が進行しているからではないと思えば、前向きな気持ちを捨てないでいられる。


早速、用事を終えて実家に戻ってきた夫にも効果判定の結果を伝え、主治医から頂いたCTの比較画像を見せたら、

「 へええ、これは驚いた。びっくりだね。こんなこともあるんだね。 」

との感想。
整形外科医である夫の専門とは畑違いだから当たり前だけど、やっぱりどっちの薬が効いてるのかは分からないし、このケースは主治医も分からないのも当然らしい。
なので今後はタキソテールとシスプラチン+CPT-11の交互投与になるんじゃない?と予測。

そして最後に、

「 ともあれ、お義父さんの病気は治ることはないから、喜びすぎないようにね。 」

と、いつもながらの冷静さを付け加えてくるのも夫らしい・・・


***


そんなこんなで、翌日19日に私と夫が九州に戻る日を迎えました。

11月に私が九州に戻るときは、ファーストラインが全く効かずに癌が進行している事実と、タキソテールの副作用で苦しむ父の姿に引きちぎられるような胸を抱え、羽田空港に向かう電車の中も、そして飛行機の中でも涙でボロボロだった私。

だけど今回は、どんなに体調の悪い父を見ても(それはそれで心配だけど)、生きている父の姿を見るのはこれが最後じゃないという安心感があり、別れ際も全く涙は出ませんでした。


父の体調不良は相当なもので、いつもなら駅まで見送ってくれるのに、今回は自宅の駐車場まで。
抗がん剤が必死で父の癌細胞と戦い、父の体が戦場になっているんだな・・・ などと思う。



そんなこんなであっという間の9日間でしたが、内容の濃い9日間の帰省でした。



タキソテールの効果判定について、ここまで結論先延ばしにしてスミマセン。。。



結論から言うと、1月18日のCT画像による効果判定では、驚くべきことにタキソテールの効果が出ていました。


その日、いつものように父→母→私の順番で主治医のいる診察室内に入り、3人で挨拶をするやいなや主治医が第一声に、

「 ○○さん、最近調子良くなってないですか!? 」

と。

それを聞いて、年末から体調絶不調が続いている父は、主治医の明るく大きな声に少し戸惑って返事が出来ないでいる様子。
(もちろんこの日も歩くのすらやっとこでした)


主治医はそのままにこやかな顔を崩さず目の前のモニターに視線をうつし、

「 前回(10月22日)のCT画像と比べてみるとね、まあ、今パパッと比較しただけなんだけど、明らかにガンが小さくなってるみたいなんですよ! 」

とCT画像をマウスでカチカチ操作しながら、私たちに比較画像を見せてくれました。


一番最後に入室し、診察室の端で控え目にいた私も、身を乗り出して画像を食い入るように確認。


主治医は続けて、ここが肝臓で~ここが動脈で~これが癌ね・・・
などと丁寧に画像説明してくれながら、

「 まあ、どのくらい小さくなったかはきちんと後で計測しますけど、ぱっと見ただけでも小さくなってるの分かりません?
小さくなってるよね?
私もう、びっくりしちゃいましたよ。
最近調子いいでしょ? 」

と矢継早に話し、主治医自身興奮した様子。

対する父はきょとんとした感じで、一呼吸おいてから

「 調子は・・・あんまりよくないんですよ。
いつも病院に来たときだけ元気になっちゃうんで、妻や子供に
" 普段家ではぐったりしているんだから、主治医に勘違いされないように病院で頑張りすぎちゃダメよ "
って言われちゃうくらいで。
本当、今日も立ってあるくのもやっとという感じです・・・ 」

と淡々と話をする。

それでも主治医は、

「 ええー、本当ですか?
毎日お散歩にも行けてるって話してたじゃないですか。 」

と、何が何でも父の調子は良いと決めつけたい様子。

ならば父の体調が悪いのは全部抗がん剤の副作用なのかと思い、私が横から

「 副作用は最初の抗がん剤よりも今のタキソテールの方が強いみたいなんです。 」

と補足を入れました。


それを聞き流しながら主治医はカルテをパラパラめくりはじめ、

「 ええっと、今回のタキソテールは2回目でしたっけ?
で、前の抗がん剤を投与したのはいつでしたっけ・・・ 」

と独り言とも語りかけとも思える口調で話すので、そこでも私が(出しゃばってしまうことに若干の躊躇を覚えつつ)

「 タキソテールは11月から初めて3回目です。
その前にシスプラチンとCPT-11の投与は7月から3クール行っています。 」

と言うと、主治医はそれをカルテ上でも確認しながら、

「 うーん、、、一体どっちが効いているんでしょうねぇ。
前のやつ(シスプラチン+CTP11)を最後にやったのは10月上旬か・・・
一般的に、前のやつの方が強力で効きがいいんですよ。

今は血液検査結果も全く悪くないし、今ならまた前のやつを打てますね。
今度は前のやつに戻しますか?? 」

と、話を続ける。
父は主治医の言ってることがリアルタイムに呑み込めない様子で、ただただ無言。

何度も私が出しゃばるのは悪いなぁと思ったものの、父には次回どっちを打つかなんて判断しかねる状態だと思い、

「 いや、前のやつの効果が全く出なかったので諦めて、
今のタキソテールに変更した経緯を考えると、タキソテールが効いてると思うんですよね。 」

と述べると、父も母もウンウン頷く。

そして父が私の意見に加勢するように、

「 今回の薬(タキソテール)を打ってみて体調がガクンと悪くなったんですけど、喉のつかえはあんまり気にならなくなったんですよ。
自分としては体調のあまりの悪さに気がいってしまって、のどの方に気が回らなくなっただけだと思っていたんですけどね。
今は普通にお餅なんかも食べれます。

それにしても、特に12月末から本当に体調は悪いんです。
体調が悪いのは、抗がん剤が必死になって悪い細胞と戦ってくれてる証拠なんだと思うようにしてますが・・・ 」

と言うと、

「 そう考えるのが一番です!
その通りなんです。 」

と力強い同意のあとに主治医はうーんと唸るように考え(と言っても時間にして5秒くらい)、

「 じゃ、もう一回はタキソテールにしておきましょうか。
次回は2月8日にしましょう。
その前に、内視鏡も見ておきましょうね。
内視鏡は1月28日で。
それで大丈夫ですか? 」

と、さくさくスケジュールを決め、診察は終了。

最後に、10月22日と1月28日の比較CT画像をプリントして渡してくれました。


( 続きます )