・平成6年の日本株見通し | 矢口新の生き残りのディーリング

・平成6年の日本株見通し

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☆平成6年の日本株見通し

日経平均株価の2023年の終値は3万3464円だった。年間上昇率は28%で、33年ぶりの高値で終えた。また、2014年1月1日からは新NISAが登場することから、強気相場が継続するとの見方が大勢だ。

とはいえ、日経平均が勢いよく上昇したのは3月中旬から6月中旬までの3か月間で、その後は基本的に横ばい、12月29日の高値3万3653円は、6月19日につけた3万3773円よりも安い。

また、1月から11月までの日本株の売買動向を兆円単位に限ってみると、売り手は年金の5.9兆円、個人2.5兆円、投信1.1兆円と続いた。それに対して、買い手は事業法人の4.2兆円と外国人の3.6兆円だった。

売り手の年金では圧倒的に大きなGPIFを例にとると、9月末の運用資産224兆円を国内外の債券と株式で4分割し、それぞれ約54兆円から59兆円の範囲で運用している。割合の目標値はそれぞれ25%ずつなので、値上がりで比較的な運用資産が増えるとリバランスの売り圧力にさらされることになる。

GPIFは日本株を2021年に2.3兆円、22年には0.4兆円売り越したが、23年に最も売り越したのは5月と9月で、それぞれ単月で1兆円を越した。5月は日経平均の急騰期、9月は戻り高値の時期だ。日経平均は11月にも急騰して23年の最高値をつけたが、この時は外国株や外国債券の上昇率がもっと大きく、また円安もあって、逆に日本株は小幅ながら去年で初めて月間で買い越した。

このことが示唆しているは、2024年に外国株や外国債が続騰するか、あるいは円が続落しなければ、年金は日本株の高値を売り続けることを意味している。日銀のマイナス金利政策解除で円債が下落しても、日本株の売り圧力となる。

個人投資家の過去10年間の兆円単位の売買を見ると、2013年には15兆円を買い越したが、16年は3.7兆円、18年は5.7兆円、20年は3.4兆円、そして23年の2.5兆円と売り越しが続いた。しかし、24年には新NISAが始まるので、買い越しに転じることが期待されている。

投信の10年間は、2018年に1.4兆円を買い越して以降は、19年1.2兆円、20年2.4兆円、21年1.2兆円、そして23年の1.1兆円と売り越しが続いた。

もっとも、家計の投資資産残高は9月末時点で前年比24%増の427兆円と過去最大となった。うち外貨建て投資残高は前年比13%増74兆円と過去最大だった。どちらの増加も値上がり分が大きく貢献した。

一方、買い手の事業法人は2011年以降、継続的に日本株を買っているが、主に自社株買いだと言われている。22年の買い越し額は過去最大の4.5兆円だったが、23年も11月までの4.2兆円に12月に入ってからの3週間分を加えれば、過去最大をわずかながら更新している。この背景は好調な企業収益ながら、株価上昇のためには自社株買いに勝る資金の使い道が見つからないことが大きい。24年もこの傾向が続くと思われるが、企業収益が頭打ちとなったり、自社株買いに勝る有望な投資先が見つかれば、購入ペースは減速するのではないか?

こうして見ると、GPIFへの影響も含めて、今年の日本株の動向を最も左右するのは外国人投資家ではないだろうか?


長期投資が機能するには、つまり右肩上がりとなるには、1、人口が増えている(従業員が増えている)、2、経済が拡大している(売上が伸びている)、3、マネーが増えている(キャッシュフローが増えている)、の3つの要因の少なくとも1つが必要だ。

2021年までの米国株にはこの3つの要因全てが揃っていて、最高値を更新してきた。22年からはインフレ率高騰を受けた金融引き締めが始まったことで、3つ目が脱落した。1つ欠けただけで、米国株は大幅に調整した。しかし、23年に入ってからは金融引き締めの効果が見られ始め、10月下旬からは利上げ終了、24年中には何回かの利下げがあるとの観測で、3つの条件が再び揃い、株価はほぼ完全に回復した。

また、2023年には消費者向けの物価が低下する一方で、住宅価格や株価を含め、投資物件の価格はほぼすべて上昇した。とはいえ、米株の上昇はいびつで、壮大なる7銘柄として知られるアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、テスラ、メタプラットフォームらが牽引し、MSCI全世界株式指数に占める比重(12月17日時点)が、日本、フランス、中国、英国の株式のすべてを合わせた比重よりも大きくなった。また、7銘柄が合わせて75%急騰したが、S&P500の他の493銘柄の上昇率は12%に過ぎなかった。
参照:It’s the Magnificent Seven’s Market. The Other Stocks Are Just Living in It 


いびつなのは壮大なる7銘柄のなかにもある。時価総額では7銘柄の一角であるテスラの株価はS&P500採用前日の2020年12月18日の終値が232ドルだったのに対し、23年末の株価は248ドルで、3年間で約6%しか上昇していない。また、ウォレン・バフェットの3650億ドルのポートフォリオのほぼ半分はたった1つの銘柄、アップル株だけで占められることになった。一方、米市場で今期赤字を見込む銘柄の10月末から年末までの平均上昇率30%と他の株価指数を圧倒している。つまり、随所でバブルの様相も見られるのだ。

これらを鑑みると、米株の今後の動向を予測するのは簡単ではない。7銘柄が今後も独走するのか、他の銘柄がサヤ寄せするのか、金利低下の恩恵を最も受けそうな赤字銘柄が最も上がるのか、それらに加えて、リセッションは本当にないのか、インフレの再燃はないのか、商業用不動産を含め不動産市場は大丈夫なのか、地政学的リスクはどうか、米中分断の影響は、債務上限問題は、大統領選挙は、などなどの懸念はどうする?

とはいえ、2024年は上記の3つの要因が米株を支えていきそうだ。また、高金利で資金を引き付けてきたMMFの残高は6兆ドルを超えてきているが、短期金利の低下が始まれば他の投資物件に向けて資金が流出していく。国内外を問わず債券や株がその受け皿となる可能性が高い。


日本株は上記の3要因、1、人口が増えている、2、経済が拡大している、3、マネーが増えている、の3要因のうち、基本的にはマネーの急増だけでここまで来た。経済成長が止まった1997年と比較すれば、マネタリーベースは12.5倍に膨れ上がっている。その資金が株価の回復に貢献したことは疑いがない。

このうち、1の回復は見込めない。2は依然として横ばい状態だ。企業収益こそ3年連続で過去最大を更新しているが、円安、海外金利高、インバウンド消費、インフレでの嵩上げが主因で、どれも海外要因だとも言える。3の伸びは止まっていて、今後は引き締めに転じる可能性が浮上している。つまり、国内に右肩上がりを支える要因はないと言える。

一方で、日本株の下値は限定的だ。日本株だけが下げれば年金は買い続けてくる。また、日銀もコロナ時に倍増させた株式の購入枠12兆円を維持したままだ。日銀が金融政策の変更を迫られるなか、日本企業の最大株主となっている日銀が株価暴落を見過ごす選択肢はないと言っていい。

相場では下値が堅いものは上げる。とはいえ、国内に右肩上がりを支える要因は(新NISA以外に)ない。このことは、今後も日本株は海外投資家の動向から目を離せないことを意味している。

 

 


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