私たちの宅ろう所には、認知症のある方も通っています。

 

耳がきこえる方もきこえない方にも等しく認知症状は現れます。

ですが、やはり経験上で言わせて頂ければ、耳がきこえない人の認知症状はきこえない方によりも遅いという印象があります。

どうしてかまだ検証されていないのですが、手話通訳者の間では、手話通訳は運動野を司る右脳と言語野を司る左脳をどちらも使用している、と聞いたことがあります。ここに認知症状が遅くなる一つのカギが隠されているように感じます。

 

高齢者の難聴が認知機能低下と強く関連することが明らかに :ニュース | ディアケア (almediaweb.jp)

 

こんなニュースが先日、目に止まりました。

私たちにとっては当たり前だと思っていたのですが、研究データとしては新しいことなのだなと思ったことと同時に、

社会はまだ聴覚障がいに対する理解が浸透していないのだなと実感した話題でした。

 

話を戻して、今日から通所をはじめた認知症のある方とろう者が同じ空間の中で過ごしていました。

実際は認知症の方に手話を覚えることは難しいですし、コミュニケーションには耳がきこえる職員の存在が不可欠になります。

その方も#家族にろう者がいますが、手話はできません。私たちは、#ろう者できこえる家族を介護する人の支えにもなりたいのです

 

私も20代からショートステイ→グループホーム→デイサービス→ケアマネジャーとして勤務してきて、

その経験がやはり現場でも活きてきます。

 

例えば、今日もその方が白いお茶碗だとご飯を食べなかったので、茶色のお茶碗に変更したところ少しは食べる様になりました。

でも、たくさん食べるかというとそんなことはなく、日常で自宅では菓子パンをお昼に食べているということでしたので、やはりご飯の進みは悪い状況でした。介護において個人の生活環境(背景)を知るということはとても大事なことだと思っています。

 

ろう者の方の中には認知症を聞いたことはあっても見たことがなかったり、どんな症状があるのかわからない方もいます。

このため、きこえる人の認知症状とその支援をする職員の動き方や声かけの仕方を見て頂くことによって、ろうの利用者が気づくことも多くあると考えています。

 

また、ろう者が認知症利用者を介護したり、認知症利用者がろう者の耳になることを目指して介護をしています。

それが私たちの#助け合いの介護。完全な人間はいないし、不完全な部分をお互い補いあいながら生きていく介護。

そんな想いを太陽の月の介護にこめています。

 

もちろん、職員は大変ですし、一緒にいるろう者も、認知症の利用者も大変でしょう。

でも、「老い」は誰もが等しく来るものなのです。

 

大変なことは百も承知の経営方針のその先に稼働率80%はあるような気がしています。