人気沸騰!若手映画評論家(自称)-DEAD or Watch the Movie- -5ページ目

うさぎドロップ

 
うさぎドロップ [DVD]/松山ケンイチ,香里奈,芦田愛菜
¥4,095
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「子供への愛情」

★☆☆☆☆
2011 日本
ドラマ

 宇仁田ゆみの人気コミックスを松山ケンイチと芦田愛菜主演で実写映画化したハートフル・ドラマ。共演は香里奈。監督は「ポストマン・ブルース」「MONDAY」のSABU。
 27歳の河地ダイキチは、会社では部下からの信頼も厚い働き盛りの独身サラリーマン。ある日、祖父の葬式で、その祖父に隠し子がいたことが発覚。しかもわずか6歳の女の子だった。母親の行方も分からず、親戚一同が迷惑顔で、少女の引受先を決めあぐねているのを見て、思わず“自分が育てる”と宣言してしまうダイキチ。こうして血縁的には叔母となる6歳の少女・鹿賀りんとの奇妙な共同生活が始まった。しかし保育園のことさえ頭になかったダイキチ。どうにか一時保育先は確保したものの、数日としないうちに、これまで通りの仕事をこなしながらりんを育てることは到底できないと痛感する。その結果、子育てを始めて早々に、ある大きな決断を迫られることになるのだが…。


アニメを実写映画化した場合、成功といえるものは少ないし原作を超えることはほぼ皆無だと以前述べたが、もちろんこの作品も例外ではないだろう。
原作やアニメを見ていないから、それは分からないだろうと反論を受けるかもしれないが、この映画作品を見た限りでは全くおもしろみが無く映画としてはB級以下だと言わざるを得ない。
原作やアニメの人気を考えれば、この映画作品より原作・アニメの方がおもしろいことは明らかである。
なぜなら原作やアニメが駄作で人気がなかったならば松山ケンイチ、芦田愛菜主演で実写版を作ることにこぎつけなかっただろう。

キャストについては、特に松山ケンイチ、芦田愛菜が演じることに賛否両論があるようだが私にとってはキャスト以前の問題だ。
何が言いたいのか分からない。何も伝わってこない。監督・脚本の問題だと言わざるを得ない。


さて子供への愛情について考えたい。
本作品のように自分の子供ではない6歳の子供を育てるということにどういう考えをもつだろうか。
前述したようにこの映画作品からは何も伝わってこなかった。
(原作では6歳の幼女が大きくなってからの話があるようだが)

最近では、連れ子を虐待したり死に至らしめる事件やシングルマザーのネグレクト(育児放棄)、乳幼児の放置などの信じられないニュースをよく目にする。
ありえない!

血のつながりのない子供を育てるということはよほど大変なことなのだろうが、再婚相手の連れ子をちゃんと育てる意志や自信が無いのであれば再婚すべきではない。
自分の子ではない子供を育てる自信が無いなら、子供を預かるべきではない。
本作品の主人公のように勢いで幼女りんを預かるシーンからまず賛同できず違和感を覚える。

幼女りんの本当の母親を非道徳的な人物に設定し、主人公ダイキチを道徳的な人物に設定し、対照的に見せているのだろうが
私に言わせればどちらも非道徳的である。

この作品を観た時、私には1歳の子供がいた。
本作品とは年齢も性別も環境も全く違うのだが、父母両方が居ても自分の本当の子でさえ子供を育てるということは大変なことなのだ。

「うさぎドロップ」という作品は漫画・アニメでのみ楽しめる作品で実写映画するべきものではなかったのだ。
私に1歳の愛する子供がいることが皮肉にもこの「うさぎドロップ」実写版を全否定することになろうとは鑑賞前には自分自身でも思いもよらなかった。



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