人気沸騰!若手映画評論家(自称)-DEAD or Watch the Movie- -4ページ目

阪急電車 片道15分の奇跡


阪急電車 片道15分の奇跡 特別版 [DVD]/中谷美紀,戸田恵梨香,南果歩
¥5,985
Amazon.co.jp

「電車に乗るということ」

★★★☆☆
2011 日本
ドラマ ロマンス


 関西ローカル線“阪急電車”を舞台に、人間模様を心温まるタッチで綴った有川浩のベストセラー連作短編集を、中谷美紀、戸田恵梨香はじめ豪華キャストで映画化したハートフル群像劇。監督は数々のTVドラマを手掛け、本作で映画デビューとなる三宅喜重。
 宝塚から西宮北口までを約15分でつなぐレトロな雰囲気の阪急今津線。そこには、様々な事情を抱えた男女が、束の間乗り合わせていた──。純白のドレスに身を包んだOL翔子。彼女は、婚約者を後輩に寝取られてしまい…。かわいい孫を連れた老婦人の時江は、息子夫婦との関係に悩む日々…。彼氏のDVに悩む女子大生のミサ。ふとしたことから車内で口論となり…。庶民的な主婦、康江は、肌の合わないPTAの奥様グループの誘いを断ることができず…。地方出身の大学生の権田原美帆と小坂圭一は、おしゃれな大学に馴染めず…。年上の会社員と付き合う女子高生の悦子。大学受験を控え、成績が思うように上がらず…。


私は阪急電車を常用している。
それがこの作品を楽しく観ることができた要因の1つであることは間違いない。

この作品のようなことは滅多に起こることではない。
ウェディングドレスで電車に乗っている人は居ないし、電車の中で暴力をふるうDVカップルも見ることはない。
一方、うるさいおばちゃん集団やおばぁちゃんと孫のおでかけ、恋人なのか友達なのか不明なカップルなんかはしょっちゅう見る光景だ。

私は電車に乗ることが正直あまり好きでは無い。
乗車中はたいがい座って居眠りや瞑想をするか、立って窓の外をボーっと眺めているかケイタイをいじっているかだ。
満員電車はぎゅうぎゅうで早く開放されたいとイライラするし、時にはトラブルで線路上で電車が停車してしまうこともあるし、
冬は暖房が強く暑くて頭が痛くなったり夏は冷房が寒くて体が冷たくなることがある。


電車に乗っている人、乗り合わせた人はみんなそれぞれのこの作品のようなドラマをもっている。
そう考えると電車に乗ることが決して好きにはならないが、暇つぶしになるし悪くないと思えてきた。

あの男女はもしかしてDVカップルなのではないか。

あのおばちゃん集団のうちのあの人は付き合いたくない人としょうがなく付き合っているんじゃないか。

と作品の話のようなことを考えたり。


もしも乗車中に事故や天災が起こった場合、一緒に乗り合わせたこの人間の中の誰が自分を助けてくれるだろうか。
いや私が誰を助けてあげなければいけないだろうか。

あのスーツの浮かない顔をしているビジネスマンは、仕事でミスをして上司に絞られて帰るところかな。

なんてことを妄想してみるのもおもしろい。

そんなことを考えていたら電車の中で実際に起こったことを思い出した。

シートに座りケイタイをいじっていたら、隣のおばぁちゃんが
「私ペースメーカーを付けてるから、ケイタイを少し離してくれますか」と声をかけられたことがあった。
それからは周りを気にしてケイタイをいじることにした。

ドアの前で女性がダンスを踊っているのをずっと眺めていたこともあった。

よっぱらいと乗り合わせることも多々ある。

自分にも電車の中での思い出がたくさんあることに気づいた。

電車に乗って嫌な目に合うこともあるが、どうせ毎日電車に乗るのなら
楽しんで乗ろうではないか、と思わせてくれたことはこの作品を観てよかったと思う。

泣いても笑っても同じ人生なら笑って生きりゃいい、みたいな。


阪急電車 片道15分の奇跡
¥3,591
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