好敵手ライバルの存在は業界全体を活性化するとよく言われる。

1社独占や1人勝ちは長く続かない。儲かるうまい話には、まわりがだまっていない。新規参入によってやがて寡占状態になる。その競争原理はやがて業界をより発展させていく。ライバルの存在は実はありがたいのだ。会社もそうだし、スポーツでも芸能でも例が多い。


 そしてこの伝統の出版界にも社運をかけて大物に勝負を挑む出版社がいる。角川書店である。個人的に角川書店に肩入れしているわけではないが、今年に入ってからの角川書店の文庫戦略は明らかに1人勝ちの阻止を図っているのか、もしくは便乗しているかさだかではないが、真っ向から対決姿勢がうかがえる。


 第1弾は「ハリーポッター第6巻」と「ダヴィンチコード」であった。ないかとお騒がせしたダヴィンチコードは予想を超える加熱ぶりだったが、やっぱりハリーポッター強し。いくら上中下の3冊文庫で買っても、ハリーポッターのハードカバー上下で3990円にはかなわない。8冊売らないと1冊分の値段にはならない。第1戦は試合には勝ったが勝負に負けたというところだ。

 そして今夏は第2弾。角川書店の次の狙いは夏休みアニメ。なんといってもスタジオジブリと世界3大名作ファンタジーの1つ「ゲド戦記」との最強タッグによる作品が控えている。角川文庫は宮部みゆき原作の「ブレイブストーリー」を映画化で挑戦状を叩きつけた。声優をそのまま実写で出演させても充分いける豪華キャスト。

 いずれにせよ、映画の原作本というTPOはいまや売れるための必須項目。原作もかなりしっかりした内容。昔は夏休みアニメ映画の原作といえばコミックが主だった。ドラエモンとかドラゴンボールとか。いまではコミック原作は連ドラに使われ、映画では世界の名作や人気作家の原作本。マンガ王国日本はついにここまできた。この豪華原作アニメ対決の軍配は果たしてどちらに。