民訴の次は商法を解きました。設問1は方法を論ぜよという出題でしたが、ただ手段を挙げるだけになってしまいました。

 

設問2(1)は、条文を挙げることがまず重要だと思います。

 

設問2(1)は、「事例で考える会社法」で、立案担当者が議論なく有効説に基づいた立法をしたことが学説の反発を招いた、という記述があったような気がして、条文の文言からすると当然に有効である、という立場を取りました。しかし、その本に書いてあったのは財源規制違反の配当の効力(462条関係)でした。あやふやな知識を使うのはよくないですね。

 


第1 設問1
1 金銭債権は「金銭以外の財産」(199条1項3号)だから、A社のX社に対する5億円の金銭債権を現物出資する方法が考えられる。
2 手続は以下の通りである。
(1)X社は公開会社であるから、募集要項について取締役会の決議(369条1項)が必要である(201条1項、199条2項)。
(2)X社は、現物出資財産の価格を調査させるため、裁判所に対し、検査役の申立てをしなければならない(207条1項)。A社に対し発行する株式は1万株であり、発行済み株式総数4万株の10分の1を上回るから、209条9項1号にあたらない。また、現物出資財産の価額は5億円であり、500万円を超えているから、209条9項2号の場合にもあたらない。したがって、検査役の申し立てが必要となる。
(3)X社は、A社から、現物出資財産である5億円の金銭債権の給付を受けなければならない(208条2項)。
第2 設問2(1)
1 Z社に対する責任追及
(1)Cとしては、Z社に対して、株主代表訴訟(847条1項)により、出資の履行を仮装した募集株式の引受人の責任(213条の2第1項1号)を追求することが考えられる。
(2)「払込みを仮装」(213条の2第1項1号)したかどうかは、①払込みから引き出しまでの期間の長短、②会社資金としての運用の有無、③会社の資金に与える影響、の3点から判断する。
 本件では、平成29年2月1日に払込みが行われているが、翌日、当該払込金が引き出され、Z社の借入金債務に弁済されている。すなわち、期間はわずか1日である(①をみたす)。また、わずか1日では運用することはできない(②をみたす)。さらに、債務超過に陥るおそれがありながら、払い込まれた金員が全く残らないのでは、会社の資金に与える影響は大きいといえる(③をみたす)。したがって、「払込みを仮装」したといえる。
(3)以上より、Cは、6ヶ月前から引き続きX社株式を有していれば、「株主」にあたるため、株主代表訴訟によりZ社の責任を追及することができる。
2 Yに対する責任追及
(1)Cとしては、Yに対して、株主代表訴訟(847条1項)により、出資の履行を仮装した場合の取締役等の責任(213条の3第1項本文)を追求することが考えられる。
 YとZ社は、Z社がX社の連帯保証を受けて金融機関から3億円を借り入れ、これを当該募集株式の払込金額の払込みに充てるとともに、当該払込金をもって直ちに当該借入金を弁済する旨協議しているから、Yは「出資の履行を仮装することに関与した取締役」といえる。したがって、Cは、この方法によりYの責任を追及することができる。
(2)また、Cとしては、株主代表訴訟(847条1項)により、Yの任務懈怠責任(423条1項)を追求することが考えられる。
 YはX社代表取締役であるから「役員等」にあたる。
 任務懈怠とは、忠実義務(355条)又は善管注意義務(民法644条)違反をいう。Yには、払い込みの仮想に関与した点で213条の3第1項違反があるため、任務懈怠がある。
 この任務懈怠により、X社には、3億円の払い込みが得られなかったという「損害」がある。
 したがって、Cは、この方法によりYの責任を追及することができる。
(3)429条1項の責任については、まだX社株式価格が下落するなどの損害が発生していないため、追求することができない。
(4)このほか、Cとしては、解任の訴え(854条1項)によりYの責任を追及することが考えられる。
第3 設問2(2)
1 募集株式の効力について
 平成29年2月1日に行われた募集株式は、払込みが仮装されていることからすると、発行の実体がなく、無効となるとも思える。
 しかし、209条1項2号によると、募集株式の引受人は、出資の履行をした日に、株主となるとしている。また、209条2項は、「株主の権利」としているから、当該募集株式が有効に発行されていることを前提としていると解される。
 したがって、出資の履行があれば、株式は有効に発行されていると解する。
 本件では、翌日に引き出されたものの、平成29年2月1日に3億円の払込みが行われており「出資の履行」があったといえる。
 したがって、本件では、募集株式6000株は、有効に発行されている。
2 議決権行使の可否
(1)払込みを仮装した場合の募集株式を受けた者は、悪意又は重過失がない限り、株主の権利を行使することができる(209条3項)。
 本件では、平成29年5月29日、B社は、Z社から、仮装払込みにより発行された株式6000株を代物弁済により取得しており、「前項の募集株式を譲り受けた者」といえる。また、X社はZ社と取引関係になく、Z社は当該募集株式の発行を受けるまでX社の株式を有していなかったことからすると、B社は仮想払込みにつき「悪意又は重過失」がないといえる。また、議決権は「株主の権利」といえる。
 したがって、B社は、募集株式6000株について権利を行使することができる。
(2)本件では、B社は、基準日5月31日の前である平成29年5月29日にZ社からX社株式6000株を譲り受けている。また、株主名簿の名義書換を受けており会社に対する対抗要件も備えている(130条1項) 。
 以上より、B社は、X社の定時株主総会において議決権を行使することができる。

以上

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