2日最初の科目、問題冊子をめくって刑事実務の問題がどんなものか確認しました。設問数はなんと6つ。試験委員は、なんとしても受験生を時間切れにさせたいらしいが、そうはさせるか。過去2年の経験からすると、多少間違いが含まれていても最後まで書けば努力賞でCはもらえます。時間配分に気を遣い、設問一つあたり15分を守るようにしました。

 

書く分量にも気をつけました。設問6つに小問もありますから、各問半ページぐらいで書いていかないと紙面が足りなくなってしまいます。

 

あとは問われていることに忠実に答えること、問題文の事実をなるべく使うことを心がけました。ただ設問5(2)と設問6(2)は何を書けばいいのかよくわかりませんでした。

 


第1 設問1
1 罪証隠滅の対象
 Wが携帯電話で事件の様子を撮影しており、この写真データが隠滅の対象となる。また、WやVが証人として出廷する可能性があるから、彼らの証言が隠滅の対象となる。
2 罪証隠滅の態様
 Wが撮影した写真のデータを消去することが考えられる。また、WやVに働きかけて自己に有利な証言をさせることが考えられる。
3 罪証隠滅の客観的可能性
 Wの撮影した写真が印刷されておらず、データを消去してしまえば証拠が失われてしまう。また、Wは通勤のため甲通りを使用しており、WとAが遭遇する可能性がある。また、Vは1週間は取調べができないため、調書が取られていない。
4 罪証隠滅の主観的可能性
 Aは犯行を否認しており、自己に有利な証言が得られるよう行動する可能性がある。
5 以上が裁判官の思考過程であると考えられる。
第2 設問2
 公訴事実記載の暴行とは、「被告人は、・・・Vに対し、その胸部を両手で2回押す暴行を加え、同人をその場に転倒させて・・・」とあるから、Vを転倒させる前の暴行である。一方、下線部Bの供述のAの行為は、「・・・歩道上に仰向けに寝ているVの腹の上に馬乗りになった状態で、・・・右腕を振り上げた」とあるから、Vを転倒させた後の行為である。すると、Bの供述にある事実は、AがVの転倒前に暴行を加えたことを推認させる間接事実となる。したがって、Bの供述は間接証拠となる。
第3 設問3
1 316条の15第3項1号イに定める事項
「証拠の類型」は、316条の15第1項5号ロである。
2 316条の15第3項1号ロに定める事項
(1)「当該検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であること」
 Vの供述の証明力を判断するには、甲3号証のVの検察官面前の供述録取書だけでなく、警察官に対する供述録取書などを見比べて、供述に矛盾点がないか吟味することが重要である。
(2)「被告人の防御のために当該開示が必要であること」
 弁護人は、Vの何らかの疾患が影響して自らふらついて転倒したと考えている。そのような疾患があるかどうか、Vの供述録取書から調べることが必要である。
第4 設問4
1 甲4号証について
(1)伝聞証拠とは、公判廷外の供述証拠で、立証趣旨との関係で内容の真実性が問題となるものをいう。甲4号証は、Vの説明に基づき、AとVとの相互の体勢及び動作を再現したものであって、再現状況が撮影された写真とともに、Aの供述を録取した供述証拠といえる。また、甲4号証の立証趣旨は、AのVに対する暴行状況であると考えられるから、内容の真実性が問題となる。したがって、伝聞証拠に該当し、320条1項により証拠能力がないことから、「不同意」との意見を述べたと考えられる。
(2)甲5号証の写真には、仰向けに寝ているVの腹の上に馬乗りになった状態で右腕を振り上げた様子が記録されており、甲4号証と同様に伝聞証拠にあたるとも思える。しかし、写真による記録は知覚・記憶の過程がなく、機械的に正確な方法で記録されているから供述証拠にあたらない。したがって、伝聞証拠に該当せず320条1項によっては証拠能力が失われない。そこで、弁護人としては、Vが転倒した後のAの行為については関連性(規則189条1項)がないとして異議を述べたと考えられる。
第5 設問5
1 設問5(1)
 検察官は、「Aに両手で胸を1回強く押された」との証言を明確にするため、AがVの胸を押した際の動作が再現されている甲4号証添付写真を示そうとしたものと考えられる。このような場合、裁判長の許可が必要となる(規則199条の12第1項)。したがって、裁判長は、検察官の求めに応じて許可したものと考えられる。以上が裁判長の思考過程である。
2 設問5(2)
 甲4号証添付写真とVの証言内容との関係は、「Aに両手で胸を1回強く押された」旨の証言内容を明確にするという関係があるから、同写真はVの証言と一体をなす。したがって、裁判所は、同写真を事実認定の用に供することができる。
第6 設問6
1 設問6(1)
(1)「前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき」
 甲7号証では、B子は「Aは、・・・両手でVの胸を1回突き飛ばすように押した」と供述しているが、下線部fの証言では「AがVの胸を押した事実はない」と、相反した供述をしている。
 また、甲7号証では、B子は「仰向けに寝た状態になったVの腹の上に馬乗りになり,『この野郎。』と怒鳴りながら,右腕を振り上げてVを殴ろうとした」と供述しているが、下線部fではそのような事実はないと証言しており、この点でも供述が相反している。
(2)「前の供述を信用すべき特別の情況の存するとき」とは、相対的特信情況をいい、外部的事情だけでなく、供述内容から判断することも許される。
 本件では、B子は、甲7号証の供述を行った後、5月に入ってからAの子を妊娠していることが分かったと供述している。このことから、B子は、父親であるAが罪に問われないよう暴行の事実はないと供述を変えたことがうかがえる。したがって、前の供述(甲7号証)のほうが信用できる。
2 設問6(2)
 暴行の事実について、下線部fの証言と甲7号証では相反する点がある。相反性を判断するため、甲7号証を取り調べる必要がある。

以上

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