つづき
これにより、メディアをはじめとする世論は
心臓病予防のために食事で注目すべきは『脂肪とコレステロールである』との方向に傾き、糖類と心臓病の関連に関する議論は抑えられることになりました
ここからアメリカの食生活ガイドラインや、低脂肪ダイエットへのら流れが一気に作られることになりました
現代では、低脂肪ダイエットに関しては推奨されていません
この一件に関して、今回の論文は、当時何が起こったのかを歴史的な資料から明かにしたのです
これによるとSRFは、論文に携わったハーバード大学の研究者3名それぞれに
現在の価格で約5万ドル(約770万円を支払い
論文の結果を操作するよう依頼しました
出版前にSRFが原稿をチェックしたり、組織的な操作が行われたことを明らかにしました
そのうち一つの論文の共著者のハーバード大学の研究者は
当時の同大学栄養学部の学部長で
政府組織の専門家としても意見を求められる
栄養学会界の重鎮の1人でした
政策の流れを決定づけるような論文執筆や、政策のアドバイスに関わる立場の人たちが
特定の食品団体から資金提供を受けたことが問題視されました
現在では、学術誌においては、通常、利益相反(コンフリクト オブ インタレスト)といい、関連団体からの資金提供の有無を明らかにすることが求められます
この論文では、他の研究資金については開示されているものの、SRFによる研究資金については開示されていませんでした
実際、1984年まで、NEJMは資金提供に関する開示を研究者らに求めてきませんでした
これ以外にも、その後もSRFが後押しする製糖業界は、糖質と心臓疾患の関連性について糖類の注意を薄め
他の食べ物に集点を当てるような研究を続けて行っていることが分かっています
この事例のように、たばこやアルコール、食品の業界団体による研究資金提供と、研究の結果が業界に有利なように結論づけられているという論文はいくつも出ています
例)飲料業界が資金提供した研究は、研究者が独自で資金を集めた研究よりも、業界に好ましいような結論が発表されていると報告されています
同様の結果は、複数の食品分野でも恒常的に見られており、ビジネスと研究の倫理観が問われています
消費者も、どこが資金提供しているか、起業のお金が絡んでいるかポイントになるでしょう
#糖類