【概要】
 購入したシフォン(タントOEM)に関して、大きな期待の一つが燃費の良さでした。

 しかし、意外にも、気を配って走行しても一向に伸びない燃費。そしてそこには、思わぬ原因がありました。

 

高い燃費性能への期待

 前に乗っていたムーヴと比較すれば、背が高くて空気抵抗が大きく、さらにスライドドアも加わって重量も相当増しているので、普通に考えれば、シフォンの燃費が相対的に悪くなるのは当然です。それに加え、ターボ車という点もマイナスですし、事実カタログスペックでもNA車より燃費は落ちます。

 ただ、ムーヴは2009年式です。それからの15年近い年月で、エンジンの改良を中心に、大きな進化も期待できます。

 実際、単純比較はできませんが、ムーヴの時は10・15モード燃費で23.5m/Lでした。ちなみにこれは5速マニュアルの数値で、4ATは21.0km/L、CVTだと23.0km/Lというスペック。当時はまだ、燃費に関してはMTがベストだったわけです。MTを選択する理由が、もはやほぼ趣味のみとなった現在と異なり、当時は燃費でも有利、というメリットが実在したわけです。

 これに対して、シフォンターボの燃費は、一般に10・15モードより厳しいと目されるJC08燃費で24.3km/Lです。本質的には計測方法の違いなので、単純にどちらが厳しくどちらが高く出る、という理屈ではないし、車種によってもその差の程度は異なります。しかし概して、JC08モードが平均して1割ほど低く出る、と言われています。とすると、JC08燃費の24.3km/Lは、1/0.9倍して、27.0km/L相当、つまり、23.5km/Lである古いムーヴより15%ほど燃費が良いことになります。

 そして、最近の車では常識とはいえ、シフォンには燃費の良い運転かどうか判断できるエコ表示機能と、平均燃費表示機能があります。少なくとも、エコ表示機能を活用し、極力グリーンとなるような運転をすれば、本来持つ燃費性能を活かすことはできるはずです。

 きっとこれまでにないレベルの燃費性能が得られるに違いない。期待に満ち溢れ、いざ出陣です。

 

予想もしない燃費の悪さ、何かが違う

 とりあえずは、そのすばらしい燃費を体験すべく、あくまでエコ最優先で、普段なら遅い車は抜いて、適宜車線変更して加減速するところも、車線キープ・車間距離キープで、極力エコグリーンがブルーに変わらないようにして、加速もブレーキも最小限の、おとなしい運転をします。ところが、どうしたことか、十分長い距離を走っても、平均燃費が17キロ前後から一向に上がりません。

 走行しているルートは、片道28キロ程度の、実家との往復でよく利用する、交通量の多い、しかし比較的信号の連動の良い片道二車線の幹線道路。ムーヴの時は、もっとキビキビ走っても、夏季以外はだいたいリッター20キロは超えていました。リッター17キロとなると、真夏の炎天下でエアコンをガンガン入れて走るときの数値、しかし今は季節も春、一番燃費の良い時期のはずです。

 

 不審に思いながらも、もしかしたら平均燃費表示の特性で、実際はもっと燃費が出ているのかも知れない、と考えました。しかし、そうした推測を裏切るように、目的地についてエンジンを停止したところ、出てきたエンディング画面の数値は、走行距離30キロ弱で、やはり燃費は17キロ強。それ以降、いくら走行距離を重ねても状況は同様です。

 さすがに不安になりつつ、燃料残も半分を下回ったのでセルフスタンドで給油。そうして確認したところ、走行距離338.5kmに対して給油量は19.7L。給油量と走行距離で計算した燃費は17.18km/L。この数値は、残念ながら平均燃費表示やエンディング画面の数値が正しいことを証明するものでした。

 

 これは正直、かなりショックな結果でした。一番燃費の良いはずの時期に、インディケータにも従って、神経質なくらい燃費重視で走っているにもかかわらず、リッター17キロしか出ない。もしもこれがシフォンの本来の実力なら、高速走行や、冬期、あるいはエアコンを多用する夏場はどれくらい燃費が悪化するのか・・・。やはり、背が高く重量の大きなこのタイプは、カタログ数値とは関係なく、軽とは思えないような低燃費なのか。それとも、ターボ車であることによる燃費の低下というのはここまで大きなものなのか・・・。

 眼の前が真っ暗になる、というほどではありませんでしたが、今振り返ると、唯一、この車を買ったのが失敗だったのではないか、という不安に陥った瞬間でした。

 

燃費悪化の原因に気づく

 計測方法としてはもっとも確実な、走行距離÷給油量によって、納車前には予想もしなかった低燃費の現実を突き付けられたわけですが、どうしても何かがおかしい、という気持ちは抜けません。なにか理由があるのではないか・・・。

 そう思ってじっくり振り返ってみると、走行中に感じていた、ある違和感に思い当たりました。そしてそれは、実は信号待ちなどでの停止・発進のたびに、あれっ?と思っていたことでもあります。ひとことで言うと、急発進です。

 ずっとマニュアル車に乗ってきて、発進時どのように加速するかは、自由にコントロールできるのが当たり前でした。しかしシフォンはCVT、MTのようにはいきません。もちろん踏み込み方次第で急発進はできるし、ゆっくり出ることもできるはず。

 ただ、毎回感じていたことは、どうも発進が急なのです。特に先頭で止まった場合、他の車より明らかに加速が大きく、飛び出すような走りになります。そうならないようにゆっくり踏んでも、やっぱり他車をぶっちぎるような走りになるのです。

 慣れないCVTで、ターボであることを考えても、他車とて似たようなもの、自分だけ急発進する理由はありません。

 

 そこではたと気づいたことがありました。停車したあと、ブレーキを踏み続けなくても停止状態をキープする、ホールド機能です。

 売りの一つである便利機能なので、停止中にブレーキを踏み続けることを面倒くさく感じるほど横着ではない私でも、特に深く考えずにONにして利用していました。ただこの機能、発信するときにこのホールドを解除するため、少し深めにアクセルを踏む必要があるのです。その結果、発進後もアクセルを必要以上に踏み込んだ状態になり、望まない急発進を繰り返すのです。そして、そのことが予想以上に燃費に悪影響を及ぼしているのではないか。

 このホールド機能はボタン一つでオフにできるので、早速試してみました。

 前の車なら次の給油までその推測の妥当性は確認できませんが、そこは平均燃費表示機能を持つ最近のシフォン。すぐに確認できたその効果は顕著で、17キロ前後だった平均燃費は、今度は20キロを超えました。そして次の給油の際には、確かに20キロを超える燃費を確認することができたのです。

 

使い方が正しくなかったかも知れないけれど・・・

 それ以来、ホールド機能はずっとオフなわけですが、実のところ、ホールド機能を使いつつ、燃費も落とさない操作はあるのかも知れません。例えば、発進時にギクシャクすると不評のアイドリングストップですが、信号待ちなど、発進タイミングが予測できる場合は、ほんのわずか早めにブレーキを強く踏み込むか離すかしてやれば、発進時に問題ないタイミングで再始動はできます。同様にホールド機能でも急発進しないで外す方法はあるのかも知れません。ただ、少なくとも取説にはそのような操作の説明はありませんし、機会があれば確認してみようかとも思いますが、今のところは優先順位は高くないので、単にOFFにして使っています。

 

 ともあれ、ある意味、しゃれにならないほど絶望的な気分に陥れられたとも言っていいこの低燃費事件は、幸いなことに一回の給油のタイミングで解決することができました。そして、それから先、今度は逆に、この車の驚くほどの燃費性能を堪能することになっていくのです。

 シフォンに関する燃費は、このブログの重要なテーマの一つなので、そのことについてはこれから一つずつ紹介していきたいと思います。